不運な世代の4人のアーティストの物語。夢に破れ、理想を失くした4人はガレージに閉じ込められていた。そこへ奇妙な生き物が現れぞっとする取引を持ち掛ける。これはスペインに恋焦がれるフォルケ・インゴという名のフィンランド人作家の人生を綴った小説で、彼は冒頭の4人に起きた出来事を書いた小説の著者。これはフォルケ・インゴの文章の注釈からフッターにまで注やコメントを付ける様々な人に関する小説。
本書は、地図製作史における至宝、アトラス(世界地図帳)と、その作成者であるゲラルドゥス・メルカトルの人生を深く掘り下げたもの。メルカトルは複雑な理論体系と重要な革新技術を駆使し、地理に関する知識とその地図作成における解釈を体系化した。その図法は現代でも用いられ、地図作成に活かされている。歴史家ケビン・R・ウィットマンが情熱を傾けて著した本書は、16世紀の拡大していく世界を映し出し現在の世界地図の直接の起源にもなった地図について詳述した作品で、読む人を地図製作の知識と歴史の世界に引き込む。
マルコス・ベーは、自分で漫画の技法を身に付けたガリシア人作家で、主にミステリー、アドベンチャー、ファンタジーものの作品を発表している。大人向けの作品はリアルで細部にまでこだわった劇画調、ユーモラスな作品はシンプルで軽いタッチ、というふうにまったく異なるスタイルで描き分けるのが特徴だ。
アキダビアの皇帝は1000年間国を治め、死ぬとまた生まれ変わる。今回の生まれ変わりでは、皇帝の死後に帝国会議のメンバー数名がある小さな村に現れた。神の魂が宿り、それゆえに玉座を占めるべき新生児を探すためだ。これは永遠の皇帝の17番目の生まれ変わり、ビンタネラランダリの物語。力が目覚めるとすぐに帝国を統率できるように子どものころから教育されてきた女性だ。だけどこれはまた、アキダビアの辺境で育った少年、ケランの物語でもある。その人生は地域の権威に挑もうとした日を境に突然変化する。
マルコと仲間たちの新学年は、あぜんとするような急展開で始まった。小学校6年生は驚きの連続だ。すごく楽しい驚きもあれば、それほど楽しくもないものもある。小鬼、魔法使い、トロール、ゾンビ、吸血鬼が来る日も来る日もアレックス、マルコ、エストレーリャ、クリスティーナ、ゴンサロに嫌がらせをしようとするんだ。だけど今回は、さらに強力な敵が暗闇からみんなを見張っている。
ページを繰る手が止まらない、力強い小説。流麗かつ平易な文体で綴る、陰謀とアイデンティティ探しについての情熱的な物語だ。全体が、若者の間のあらゆる種類の愛情関係、支配的で中毒性のある関係の危うさ、ソーシャルネットワークの影響、新しいタイプの家族への適合といった現代性に富むテーマに自然かつ新鮮な切り口で触れている。
本作品は大衆小説としてみなすこともできるが、面白い仕掛けや文豪への敬意、円熟した叙述、登場人物の構成と劇的内容の奥深さから、教養小説としても読める。
年若いジャーナリスト、ミゲル・ブラボは、仏教の僧侶たちが主導したサフラン革命の取材でミャンマー派遣という大きなチャンスを手にした時、冒険の日々になることを期待していた。国内が混乱を極める中、ブラボは世界各国から集まった特派員のとあるグループに入り、刺激的な生活に浸る。独裁政権が抗議デモを鎮圧し、ジャーナリストたちがホテルに監禁されると、ライバル心、恐怖、希望、光と影といったものが際限の状態に達した。
犯罪にまみれ罪悪感にさいなまれる生活を捨て小さな町にやってきたセリア。しかし、新しい暮らしは、隣家の不穏な音と匂いによって邪魔されることになる。彼女は元彼のポールを呼んで隣家の秘密を探ろうとするのだが、ふたりには大きな影が忍び寄っていた。亡霊となって今もなおつきまとう、彼らの共有する悲惨な過去。悪魔がささやく時、傷跡は開き、血はとめどなく流れていく。
568年、ローマ帝国から実質的に忘れ去られ、互いの間で争いを続ける多様で脆弱な民が住むイスパニアは、混沌と戦いが支配する危険な地であった。しかし侵略者である西ゴートのレオヴィギルドは、唯一の王とすべての民のためのただひとつの法律を持つ強く結束した王国を夢見ていた。ふたりの息子、ヘルメネギルドとレカレドのための平和な王国、イスパニアだ。初めは無慈悲で死を招く戦士ヴァルタリオだけが王のこの夢を信じた。王の周りは陰謀や背信や反乱が渦巻く。