歴史小説、冒険小説、私小説、スリラー、それにロマンス小説の要素まで盛りこんで書かれた35Muertos(死者35人)は、ある敗残者を襲った不幸の数々と、かつて彼を見知っていた何十人もの人々の物語を通じて、ここ40年間のコロンビアを描きだす。
いつも夏を過ごす小さな村へトマスが家族と一緒に行ったとき、青年期特有の彼の緊張感は後戻りできないところに達していた。突然、ひとつながりになってさまざまなことが起こる。性と暴力への目覚め、死、違反… トマスは知性が行動におきざりにされてしまっているのを閃光のように悟るが、勢いにさからえず、とうとう自分で自分を許せない行為をするにいたる。そしてその時、自分を裁き、許してくれる唯一の人の前に座らなければならないと感じるのだった。
ファンタジー、風俗小説、社会派小説、未来小説、ユーモア小説のアンソロジー。九番目の芸術であるマンガ(コミック)を知るのにもよい。
さまざまなテーマをカバーしたこれらの短編は、実験に開かれたすぐれたラボラトリーとなっている。グーグルの時代において、コミック、短編映画、短編小説など、さまざまな魅力のある形式のこれらの作品は、読者に瞬時に満足を与えるかっこうの手段である。
この世にやってきたすべての恐怖心は、かたすみにみな身をよせあい、ちぢこまっている。しかし、その恐怖心はどこで生まれ、どこで死んでいくのだろう。恐怖心は何でできているのか。それらのことは、何もわからない。ただひとつ確かなのは、最も悪い瞬間に、恐怖心が表に出てくることだ。本書は、2010年の世界哲学の日にパリのユネスコで発表され、出版社のホームページでも配信されている。
ビーグル号は1831年にイギリスを出港し、世界をめぐり、歴史をぬりかえる旅をすることとなる。その船には、22歳の若きナチュラリスト、チャールズ・ダーウィンと、15歳の見習い水夫シム・コヴィントンがのりこんでいた。シムは、ダーウィンのために動物を捕獲したり、剥製にしたり、カードを作ったりする手伝いをする。二人はジャングルに分け入り、地震や火山の爆発にあい、それまで知られていなかった動植物を見つけ、進化理論を形にしていく。
ラ・マシア(FCバルセロナの育成組織)の種を植えた老人は誰だったか? そして丹念に世話をし、その種の成長を助けた親とは? そして今、相続者としてその実りの収穫をするのは誰? ラ・マシアの特徴となっている哲学は? 世界最高のサッカー選手を育てあげるために、育成選手たちに何を伝授するのか?
セバスティアン・コルバドは、義理の母親が働く領主の屋敷にこもりきりで暮らしている。めったに外に出ないが、めずらしく外出したある日、若かりし日のディエゴ・ベラスケスと知り合い、友だちになる。また、主人から虐待されている奴隷の少女と親しくなり、恋をして、彼女を自由にしてやろうと決心する。
私の部屋にはあなぼこがあって、私はその穴に学校で作った厚紙の望遠鏡をつっこんで見るのが好きだ。望遠鏡を通して、あらゆる種類の空想の動物が見える。私の友達のフアンも、ちがっている…。
とある4月の土曜日の夜明け、スペイン南部の小さな村。その家に住む老女が亡くなっているのを見つけた家人の悲鳴で家じゅうが目を覚ます。それから何時間かにわたって、家の扉が弔問客に開かれる。会話と中傷、家族と近所の人々、涙と再会、花と祈り、人、たくさんの人。良きにつけ悪しきにつけ、いやがおうにもつきあわざるをえない村人たちの人生が投影される。
動物園につながれているのがいやになった1頭のカバが、故郷のアフリカに帰ることにする。何人かに助けてもらって動物園の外に出るが、なによりびっくりしたことに、自由になったカバを見ても、だれひとり――動物園の職員も、通りをいく通行人も、店員も、ピザやのウェイターも――おかしいと思わない。