とある4月の土曜日の夜明け、スペイン南部の小さな村。その家に住む老女が亡くなっているのを見つけた家人の悲鳴で家じゅうが目を覚ます。それから何時間かにわたって、家の扉が弔問客に開かれる。会話と中傷、家族と近所の人々、涙と再会、花と祈り、人、たくさんの人。良きにつけ悪しきにつけ、いやがおうにもつきあわざるをえない村人たちの人生が投影される。故人の孫カルロスとルイスは、雪崩のように押し寄せてきて、自分たちの個人的生活にわりこんできて、家族の秘密をあばこうとする人々をどうにかやりすごし、もちこたえようとする。
誰の人生にもある小さな悲喜劇を描いた物語。ヒーローも悪者も登場しない。笑いを誘うブラックユーモアと、優しさのあふれた感動的な場面が、絶妙に組み合わされた物語。