ジャーナリスト、アナ・R・カニルは、ある恐ろしい歴史を長い間追ってきた。スペイン内戦後の女性服役者たちの物語である。彼女たちが獄中で産んだ子どもは、看守に奪われ、全寮制の神学校や修道院に送られたり、養子に出されたりした。この残酷な仕打ちは、全体主義体制特有のえせ科学理論によって正当化され、その時代の有力な医師や聖職者や律法学者らにも完全に支持されてきた。これを題材にノンフィクションを書き始めた著者は、書くうちにのめりこみ、小説にせずにはいられなくなった。
わたしの名前はロレーナ、歳は――16歳になったけど今は歳がないと言うべきか、16歳で、これから先ずっと16歳と言うべきか。じゃ、こう言えばいいかな。わたしの名前はロレーナ、約1カ月半前から死んでいる。