歴史小説、冒険小説、私小説、スリラー、それにロマンス小説の要素まで盛りこんで書かれた35Muertos(死者35人)は、ある敗残者を襲った不幸の数々と、かつて彼を見知っていた何十人もの人々の物語を通じて、ここ40年間のコロンビアを描きだす。闘争に敗れた革命家、マチスモを標榜するゲリラたち、怒りに駆られて徒党を組む者、ボレロの得意な民兵たち、愛人に裏切られた麻薬の売人、極寒の地をめざした亡命者、行方不明者、お祭り騒ぎに明け暮れる恵まれた人々に至るまで、さまざまな人間がうごめくこの小説は、どのページも活力と悲劇がたぎり、それらがつねに絡みあってコロンビアの残虐な歴史を紡いでいく。めくるめく語り口に彩られたこの小説は、間違いなく新しいラテンアメリカ文学を代表する一作となるだろう。