思春期に差し掛かった息子と母親の関係、架空の人物をリアルにみせるという不可能な依頼、ある教師にまつわる道徳的疑惑、父親から受け継いだ特別な遺産…。ナダールが『Transitorios (巡り合わせ(「過ぎゆくものたち」)』で扱ういくつかのテーマである、それらの物語がたどるのはありきたりの道ではない。
『Los agujeros negros(ブラックホールズ)』は、スペインで将来最も有望なグラフィック作家のひとりボルハ・ゴンサレス=オヨスが、文学的ロマン主義と若者の反抗のふたつを掘り下げ、過去と現在の若者の憧れを描いた美しくも不気味な寓話である。グロリア、ラウラ、クリスティーナの3人は、パンク風のバンド「ブラックホールズ」を結成しようとしている。やる気、存在感、直感…必要なものは全て持っている。そしてひとつ気がかりなのは音楽教育の欠如。リハーサルを始めるとすぐに奇妙な存在が現れる。
世界最大の宇宙機関ナクサム・スペースは、時空をコントロールするための宇宙開発競争で勝利を目前にしている。しかし、ダウン症をもつ優秀な研究者が、この重要な開発競争で彼らを追い抜くことに成功する。シルビノ・プロベトゥスは、行方不明の伝説的科学者の息子で、数十年前に始まった秘密プログラム「時空侵入」部門の指揮をとる。シルビノ青年は、自分の過去に分け入る。そしてそこで、かつての想いがよみがえり、抑えることのできない疑念が生まれる。
グラフィックノベル『Siembra(種まき)』は、小さな村の少年たちの自由への渇望を描いた物語。それは、セマナ・サンタ(聖週間)の行列で、聖母マリア像の首が切られたことがきっかけだった。少年たちは衝撃をうけ、地域社会と世界における自分たちの居場所を必死に探し求める。そして、ある虐殺の事実につきあたる。
コミック『Monstruos Ibéricos: Tras los pasos de la Quarantamaula(イベリアの怪物たち:クアランタマウラの足跡を追って)』の舞台は、16世紀のスペイン。フェリペ2世の治世下、スペインが日の沈むことのない帝国だった時代だ。しかし、スペイン全土に恐ろしい怪物たちが出現し、その権勢に影を落としていく。
ミキッツは猫。でもそんじょそこらの猫じゃない。魔女の親戚だ。その魔女と一緒に危険でエキサイティングな冒険をする。楽しいこと間違いなし。一緒に出掛ける勇気が君にはあるかい?
この子ども向けマンガでは、魔女の飼い猫ミキッツの物語に迫る。たくさんの面白い冒険をしながら、彼らは友情と仲間意識の大切さを学んでいく。
自伝的な物語。別の立場で生きられたらもっといいだろうなと感じる女性。別の役割での人生、今の自分とは違った感じだったらと。彼女は内省するうちに、自分の中にある女性的なものすべてを憎むように仕向けた社会的圧力、ジェンダーのレッテル、暴力的状況の中に、その原因を見つけることになる。
もし君が殺人犯でそれを知らないとしたら? ある連続殺人事件によってロンドン市民は不安に襲われる。この一連の殺人事件を結びつける不穏なもの、それは「水」である。コルト警部はこれらの凶悪殺人事件を解決し、その背後にある謎を解き明かすことができるのだろうか? もしかしたら水の殺人犯は、私たちが認めたくないくらい、近くにいるかもしれない。もし君が殺人犯で、それを知らないとしたら?
こんなにたくさんの動物たちが集まってここで何しているのだろう? 王様選び! 状況からみて、最後に王座につくのはどう見てもライオンのようだが、雌ギツネは陰で権力を操るためにあらゆる策略を巡らすだろう。すべてを支配する快感に浸りたい、その昔からの願望に突き動かされ、主人公(雌ギツネ)は、だまし、嘘、ずる賢さ、巧みな話術を駆使して陰謀を企てる。しかし、この作品は本当は動物の話ではない。動物は登場するが、人間の本性の暗い面を描いている。
狩猟シーズンがまもなく終わろうとしているある日の夜明け前。飼い犬を連れて、ひとりの男が狩りに出かける。出発していくらもしないうちに、なぜか彼らの車は高速道路の真ん中で突然停車し、やがて近づいてきたまぶしい光線に車ごと吸い込まれてしまう。男についての消息がないまま1か月が過ぎ、男が戻ってくる。しかし、彼はすっかり変わっていた。世界の男たちを性転換するという使命を帯びたエイリアンたちが、彼の体と心を女性のものに変えてしまったのだ。