『7つの命』はある猫の物語。「猫には7つの命がある」ということわざのとおり、この猫も7つの命を持つが、ほかの猫と違っている。なぜって、7つの命を生きるあいだに、それぞれ語るべき物語を持つ7人の飼い主に出会うからだ。そして肝心なのは、その出会いから何かを教えてくれる。目撃した出来事や状況の本質を理解できない動物だからこそのくもりのない目で、人間のよいところ、悪いところを浮き彫りにする。たった一度の人生では必ずしも充分とはいえないことを教えてくれるのだ。オールカラーのグラフィックノベル。
エイハブ船長は、執念の対象であった白鯨を探しに出発する。鯨を求めて7つの海を渡るが、なんの手がかりも得られない。冒険の途中で彼を待ち受けるのは、氷山やクラゲの大群、沈没船、食人種の洞窟……、だが敵の痕跡はない。疲れ果てた船長は、家に帰ってのんびり暮らそうと決意するが、鯨が見つかるのはきっと、そんなときなのだ。どの絵にも必ず鯨がいるのが読者にはわかるが、執念に取りつかれたエイハブ船長の目には入らない。
ジョルジュ・ミエはフランスの出版社ラ・フォルチュの依頼で大衆向けの物語を書いている。ある日担当編集者から、15年前の1925年夏、観光客でにぎわうビアリッツを揺るがした悲劇について「堅い」小説を書くようにとの依頼を受ける。地元の若い女性の死体が桟橋の金属の輪に縛りつけらて発見されたという事件だ。ジョルジュは現地に赴き、30名前後の人たちに話を聞く。彼らは様々な社会階層に属しているが、なんらかの形で被害女性と面識があった。
「飛ぶのが怖いですか? 怖いでしょう」飛行、電子音声現象、古いケルト神話……この見事な小説にはすべてが盛り込まれている。民間航空会社のあるパイロットが通りすぎたあとには死と流血が起こる。あるアマチュア超心理学者が人気のないチャペルで記録した、不気味な電子音声現象が、暴いてはいけない謎を解明する最初の手がかりとなる。破壊的な邪悪な力がとき放たれ、30年以上の時を隔てたふたつのストーリーがぶつかり合う。
「飛ぶのが怖いですか? 怖いでしょう」飛行、電子音声現象、古いケルト神話……この見事な小説にはすべてが盛り込まれている。民間航空会社のあるパイロットが通りすぎたあとには死と流血が起こる。あるアマチュア超心理学者が人気のないチャペルで記録した、不気味な電子音声現象が、暴いてはいけない謎を解明する最初の手がかりとなる。破壊的な邪悪な力がとき放たれ、30年以上の時を隔てたふたつのストーリーがぶつかり合う。
『わがシッドの歌』は作者不詳。カスティーリャの騎士、勇者ロドリゴ・ディアスの晩年に着想を得て英雄的功しを物語った武勲詩。ロマンス語で書かれたスペイン文学最初の長編叙述作品であり、その文体は文学的に高く評価されている。現代の大半の批評家によると、書かれたのは1200年頃。スペイン文学で唯一ほぼ完全に保存された叙事詩である。原本の最初のページと写本の中の2ページが喪失されたが、その内容はCronica de veinte reyes (20人の王の年代記)などの年代記から推察できる。
ハイメの血管の中にいる女性の幽霊が、その創造主に恋をし、あり得ないことを夢見るようになる。目覚めることだ。幻想の世界では、人類が再創造した空想上の生き物たちが、危うい均衡を保って共存しているのだが、幽霊の熱い願いがその世界を打ち砕く。一方ハイメの日々は、大学時代の過酷な毎日から穏やかな日常へと移行する。『目覚め』はコントラストの小説だ。生々しさと真正、自由奔放さと夢、ロマンティックとエロティック。不敬だが優しいユーモア/ホラー感覚で融合した完璧なコラージュだ。
ペドロ・ミゲル・ラメが史実に基づき、巡礼者ロヨラの人生を魅力的な語り口で再現する。黄金世紀のわくわくする時代に読者を誘い、イエズス会に大きな足跡を残したイグナシオ・ロヨラの青春時代の葛藤、心の動き、文化状況や精神性を理解させてくれる。
ノスタルジーは、戦いを挑むべき蜃気楼だと著者は書く。ノスタルジーは過去を理想化し、実際はなかったものの形をとらせようと絶えず私たちに迫ってくるからだ。だから。本書は、作者マソリベルによって再構築された不穏な記憶の書だ。盲人の語りはストーリーの形をとらず、地滑りのようになだれ落ちてくる活き活きとしたイメージ群だ。思い出や幻想、胸を引き裂く場面。時間のない無為の中にいる男は、死の世界から語るように、その明晰な頭に去来するイメージをくりだしていく。
1967年、パプアニューギニアの失われた部族ハムライ族を探す日本の調査団の一員である人類学部の学生イズミ・フクダは、不思議な病気に罹ってしまう。この些細なエピソードが、その後日本とアメリカで次々に起こる出来事、そして75年後にはついに全世界を真っ暗な悪夢に陥れる重大な連鎖の端緒となる。冒険、サスペンス、スリル溢れる政治的な駆け引き、社会風刺、SF、これら全てがひとつに詰まった本書は、大胆な技巧、独創的なストーリー展開、軽快なテンポで読者を驚かせる。