紀行ジャーナリズム再び。21世紀の真っ只中、地球の隅々が地図に載り、計測され、写真に撮られ、詳細に説明されている。未知の大地を見出し、何かを発見するといった感覚を味わうことは最早不可能なのか。ロバート・カプランやイーヴリン・ウォー、ドミニク・ラピエール、そしてウィンストン・チャーチルに至る、文学ジャーナリズムの偉大なるマエストロの足跡をたどるレポーターにとっては不可能ではない。本書は読者を、あまり踏破されていないヨーロッパの果てへと誘う。
あるスペイン人営業マンが、東欧各国にある自社の拠点に出張の旅に出る。そこは彼が激動の80年代を過ごした地だ。冷戦時代の世界秩序が崩れ去り、資本主義へ移行する中、彼はプラハ、ブカレスト、ソフィアを再び訪れ、彼の人生に大きく係わった人々との再会を果たすが、歴史的出来事や時の流れが彼らの生き方や価値観、活動に及ぼした変化を見て愕然とする。最後に訪れたプラハで、協力者のカミラと再会するが、彼女が忽然と姿を消したことをきっかけに驚くべき旅が始まる。
オリベルはカンタブリアのスアンセスにコロニアル様式の大きな家を相続する。改修の最中壁の中から赤ん坊の死体が出てきて、その隣には時代に全くそぐわないものが一緒に置かれていた。この発見をきっかけにこの地域一帯で次々と殺人事件が起きていく。司法解剖の結果はどれも不可思議なものばかりで、治安警備隊の捜査は難航し、オリベルは窮地に追い込まれる。オリベルは残された時間と戦いながら、殺人犯を見つけるための旅に出る。まったくのフィクションながら、歴史的データの多くは事実に基づく。