ブエノスアイレス-ウシュアイアの飛行機に乗りこむ寸前、僕は遅延時間、溢れる観光客、飛び交う様々な言語について考える。待たされた鬱憤、研究のため大陸の果てに向かって飛ぶことへの不安について考える。そんなとき急に、どうしようもなくシモン・ラドヴィツキーのことが浮かんでしまう。彼は蒸気貨物船の船底で、他の惨めな境遇の男たちに交じって、埃と煙の中、鎖と鉄の棒を脚につけられて旅をした。暗闇の中の25日の船旅について僕は思いをはせる。
動物を主人公とするこのにぎやかな絵本を見れば、子どもはアルファベットの文字と同時に、Aの「喜び」(alegría)からZの「内気」(timidez)まで、恐怖心や恥ずかしさなども含む自分のすべての気持ちを発見するだろう。また、さまざまな気持ちを認識するだけでなく、それぞれに名前をつけ、理解し、ポジティブにつきあうことを学んでいける。
マルセラとオスカルは、サンパウロの中心街で典型的な中流階級の暮らしをしている。アパートの寄せ木細工の床を修理したばかりで、隣近所の集まりに足しげく出かけ、夜はテレビを見て過ごす。彼らが暮らすビル内にネルソンがいわくありげに出現し、ふたりの当たり障りのない暮らしが乱されることになる。ネルソンは影のある男で、ふたりは若い頃、1980年代にサントスのサーフィンビーチでネルソンと知り合い、マルセラは彼と出奔したのだった。
Última llamada(最後の通話)の大ヒットに続き、ラウラ・ファルコがミステリー小説『氷の夜明け』で私たちを驚かす。サンドラはエドゥアルドとフェイスブックで知り合った。偶然にも彼は、ノルウェーに住む、彼女の仕事上の同僚の息子だった。エドゥアルドに会いにノルウェーに旅行しようと決めたとき、まさかそれがあのような悪夢と化すとはサンドラは夢にも思っていなかった。彼女がオースレンに降りたった2日後、エドゥアルドがベッドで死体となって発見される。明らかに他殺だった。
ブランコス山脈の向こうに、ひとつの島が出現した。その島には枯れ木が1本あり、その木には6羽のカラスがとまっている。伝説によれば、カラス列島と名付けられた6つの島々はそのカラスとともに生まれた。気まぐれな海や風や魔法にゆだねられているその島にいるのは、水のドラゴン、絶望した残忍な王たち、預言が達成されるまで同じ場面を何度も繰り返し生きる定めを持つ幽霊、呪い、異世界への窓を開くお酒、血のクローバー、石の迷路、迷子の子どもたちなど。
ひとりの人間の人生を崩壊させるには、どのくらい時間がかかるか知ってる? 2秒だよ。ワッツアップで写真を1枚、シェアすればいいだけ。知ってるよね。ネットいじめについての注意は受けたけど、そんなこと実際には起こりっこない、ただいつもの退屈な日常が続くだけ、そうでしょ? グラウカもそう考えていた。だってカレのこと大好きなんだから、写真を1枚送ったところで、何が起こるというの? だけどグラウカは、恋人がアンドレアに写真を渡してしまうことを知らなかった。
ベアは機嫌が悪い。雨が好きじゃないのに、今は土砂降りなのだ。弟のギリェは彼女と遊びたくて仕方がない。小さな弟というのはいつもうっとうしいものだ。でもなんか、おかしい。ママがギリェのことを叱って、ギリェがベアにごめんなさいというのだ。「もういいよ」っていうのは、どうしてこんなに大変なんだろう?
ルットは逃げなければならない。 誰から? なぜ? 彼女はそうするしかないことを知っているが、なぜだかわからない。 アルジモン先生や、アンチョビことマルクのように彼女を助けたい人さえも秘密に覆われている。ルットを探している人たちは、彼女に対してどんな関心があるのだろう? 彼女はどこに行くのだろう? なぜ? 3部作La luz de Artús(アルトゥスの光)の第1部Caminos de noche(夜道)では、すべてが解決されるわけではない。
エリカはあらゆることを街中で学んだ。 彼女は20歳になったばかりだが、みんなは彼女がもっと年上に見えると言う。多分それは彼女の眼差しのせい。それが彼女を何歳も年上に見せるのだ。 エリカは弟のように見える兄サムエルと暮らしている。兄はいつも彼女にお金を借りている。いつももめごとに巻き込まれている。彼は彼女よりもっと強い思いで、家を出ること、そしてその汚くて暗い穴倉を後にすることを夢見ている。その穴倉には足りないものがあるが、それについてふたりは決して話すことはない。
フリオ・コルタサル。痩せてひょろっと背が高く、黒髪、鼻っ柱が強く、ひげ面、太ふちめがね、永遠の若者のような顔立ち。現代文学の中で最もよく知られ愛されている作家のひとりで、ラテンアメリカ・ブームを語るうえで欠くことはできない存在。私たちはコルタサルの人生の最も重要で啓発的なエピソードを、ヘスス・マルチャマロとマルク・トリセス作のこの伝記漫画で辿り、コルタサルの世界と彼の文学の大筋を知る証人となる特権を得られる。