全てがいつもの通りであるかのように暮らし、愛そうとする友だちグループの異常な日々を描いた作品。リュイス・カルボは、変わった愛の物語を書き上げた。その中で愛は、非常に特殊な叙事詩を求め、誰もの心の片隅に隠れている。しかしそれだけでなく、サバイバルも語られる。変化を、闇を、流行のバールやオブセッションを、どう生き延びていくのか。つまり日々を生き延びることについて語っている
1950年代のメリリャ。モロッコ独立の前にスペイン人は故国に戻らなければならない。北アフリカのヘブライ人たちは最近創られたイスラエルに定住して、出エジプト以来の大移動に終止符を打とうとしている。このような不確実な状況下、ある中年夫婦が自分たちとふたりの娘の将来を案じている。夫のサムエルは15世紀末にイベリア半島を追われたユダヤ人の末裔。妻のメルセデスはカトリック教徒。1980年代まで続くこの物語で作者は、家族の葛藤、秘密の価値、過去の存続に分け入る。
1771年のバルセロナ。17歳のコンスタンサは、アメリカ大陸の副王に仕えていた外交官の父の死後リマを後にし、長旅を経てバルセロナの祖父母のもとに身を寄せる。リマの風景や味やテクスチャーを記憶に刻み、唯一の遺品である料理帖を手に旅してきたのだった。料理帖はペルーの副王の料理人である、彼女の最初の師匠アントワーヌ・シャンペルの直伝だった。バルセロナに落ち着いたコンスタンサは偉大な料理人になることを夢見るが、女性である故に門は閉ざされている。
アイサべスは、人間世界を奴隷状態から解放するための「選ばれし者」である。目的を果たすためにはある貴重な宝石を見つけて、自分の首にかけている「解放の鍵」にはめこまなければならない。それはひとりではできない。神託『血と引き換えの命、意志の結合により王国の扉が永久に開かれる』をやりとげるには、ケンタウロスの命と自分の命をつなぎ合わせなければならないのだ。彼女は虚栄心を克服して、エリセオに近づけるのだろうか? 彼は獣性を放棄してアイサべスに命を与えられるのだろうか?
都会を離れ、コンチャ駅から毎時出発する列車に乗り、プエンテス・グランデスに到着し、アルメンダレス川のほとりにあるボレロ家の屋敷に行く。常軌を逸したこの家族を知り、その(天真爛漫かつ悪魔的な)秘密の中、奇妙で悲劇的な運命の中に入っていく。フリアン・デル・カサルと言う邪悪な(病んだ)若い詩人が、予告もなくその家に入り込むのを目の当たりにする……エリザベス・ミラバルは、この小説で描き出す冒険で2014年ベルブム・イベロアメリカ小説賞の審査員を魅了した。
著者は、ギフテッドであることをいかに、問題ではなく長所にできるかを説明する。というのも、ギフテッドはしばしば問題となるからだ。子ども自身にとっても、両親や一般の教育者たちにとってもそうで、教育者たちは、このような子どもたちに必要な配慮をするための知識も時間もない。またこれは、公衆衛生の問題でもある。なぜそのような症状が現れているのか、その背景まで見通すことができず、ギフテッドの子どもたちが異なる障害と診断されるケースがよくあるからだ。
オスカルは亡くなった母親の遺品を整理するためベルリンに向かう。母親は女性と暮らし、息子には無関心だったので、長年音沙汰がなかった。彼は訃報を父親には届けもしなかった。父親は幸福探しに関する数冊の本を書いたベストセラー作家だったが、数えるほどしか会ったことがなく他人同然だった。根無し草のオスカルは悲嘆にくれながら、1930年のニューヨークや1970年のカダケス、メキシコやブエノスアイレスにいる一族の物語を再構築しようとする。
ローマで惨憺たる一時期を過ごしたアレックス・ベルナルは明け方バルセロナ空港に到着し、手荷物受取所で自分のスーツケースが出てくるのを辛抱強く待つ。やっと自分の荷物が出て来たときには同じフライトの乗客はとっくに自分たちの鞄を手に姿を消していた。しかし、がらんとした巨大ターミナルのベルトの上を1個のスーツケースが回り続けていた。金に困っていたアレックスは出来心からそのスーツケースを持ち帰る。そして、思ってもみなかった恋愛と苦痛の物語の主役となる。
1980年サン・フアン祭の前夜。コスタ・ブラバにあるカラベラ町の住民たちは村の夏季映画館のオープニングに来るはずの伝説のエバ・ガードナーを待っている。だが、みなが女優を待つなか、風変わりなブライトマン家の末息子フストだけは違っていた。この魔法の夜に、彼は自分の願い事をする代わりに、自分の家族の運命を変えるため、できる限りのことをするつもりだった。本書は幸せ探しの物語だ。
「こういう言い方はすでに矛盾をはらんでいそうだが、僕は自分がいわゆる自主亡命者のように感じている。縁を切ることのできない唯一のもの、つまり自分自身と根底でつながりを断てないので、どこにも安らぎを見いだせない」。テネリフェに移住したあるペルー人が、スロットマシーン場での新しい仕事を始めたときから日記をつけ始める。日々は先の見通しがまったくないまま過ぎてゆき、彼の周りの登場人物たちもよく似た状況にいる。