1771年のバルセロナ。17歳のコンスタンサは、アメリカ大陸の副王に仕えていた外交官の父の死後リマを後にし、長旅を経てバルセロナの祖父母のもとに身を寄せる。リマの風景や味やテクスチャーを記憶に刻み、唯一の遺品である料理帖を手に旅してきたのだった。料理帖はペルーの副王の料理人である、彼女の最初の師匠アントワーヌ・シャンペルの直伝だった。バルセロナに落ち着いたコンスタンサは偉大な料理人になることを夢見るが、女性である故に門は閉ざされている。しかし、勇気と情熱で激動のバルセロナで道を切り開いていく。まわりには、革命を叫ぶ集団や、洗練された優美なサロンに出入りする人々など、魅力的な人々がうごめいており、当時の美食界の第一人者とみなされていたマルダ男爵もそのひとりだった。