ローマで惨憺たる一時期を過ごしたアレックス・ベルナルは明け方バルセロナ空港に到着し、手荷物受取所で自分のスーツケースが出てくるのを辛抱強く待つ。やっと自分の荷物が出て来たときには同じフライトの乗客はとっくに自分たちの鞄を手に姿を消していた。しかし、がらんとした巨大ターミナルのベルトの上を1個のスーツケースが回り続けていた。金に困っていたアレックスは出来心からそのスーツケースを持ち帰る。そして、思ってもみなかった恋愛と苦痛の物語の主役となる。そのスーツケースの持ち主サラ・スアレスは、重大な過ちを犯していたのだ。その過ちとは? 何故自分のスーツケースを引き取らなかったのか? 犯罪か、それとも自殺か。飛行機から降りなかった女がかかえる物語のせいで、あと何人の命が失われるのか?