近未来のスペイン。市民運動「直ぐに解決!」という名の新しい政党が選挙で大勝した。この政党を影で支配しているのは成功を収めている起業家で、国を企業と同様に運営するというのが持論である。多額の投資と想定される脅威に対する様々な計略を駆使し、新しい監視体制を敷いたりインターネットへのアクセスを制限したりする。
ある事件の解決のため、バルトに残された時間は3日。しかしシプレス通りには彼が探し出そうとしている手掛かりよりも、もっと多くのことが隠されている。一軒一軒訪ねては足りないパズルの欠片を集めていくが、そのたびにパズルが大きくなっていくように感じる。ただ確かなことは、誰も隣の住民がどんな人物なのか知らないということだ。
ホワイトハウスの地下に秘密のトンネルがあること、ソビエトが地球の核に到達しようとして作った、現在でも史上最大深度とされるトンネルがあることを知っていただろうか? 古来より、人類は障害物を回避し距離を縮めるためにトンネルを掘ってきた。洞窟の中や山の中、海底、大都市の地下……先史時代の最初の地下道から世界最大の地下鉄網やその他の驚異的な建造物、大型ハドロン衝突型加速器にいたるまで、これまでに造られた魅力的なトンネルの数々をこの本で見つけよう。
思春期に差し掛かった息子と母親の関係、架空の人物をリアルにみせるという不可能な依頼、ある教師にまつわる道徳的疑惑、父親から受け継いだ特別な遺産…。ナダールが『Transitorios (巡り合わせ(「過ぎゆくものたち」)』で扱ういくつかのテーマである、それらの物語がたどるのはありきたりの道ではない。
『Los agujeros negros(ブラックホールズ)』は、スペインで将来最も有望なグラフィック作家のひとりボルハ・ゴンサレス=オヨスが、文学的ロマン主義と若者の反抗のふたつを掘り下げ、過去と現在の若者の憧れを描いた美しくも不気味な寓話である。グロリア、ラウラ、クリスティーナの3人は、パンク風のバンド「ブラックホールズ」を結成しようとしている。やる気、存在感、直感…必要なものは全て持っている。そしてひとつ気がかりなのは音楽教育の欠如。リハーサルを始めるとすぐに奇妙な存在が現れる。