近未来のスペイン。市民運動「直ぐに解決!」という名の新しい政党が選挙で大勝した。この政党を影で支配しているのは成功を収めている起業家で、国を企業と同様に運営するというのが持論である。多額の投資と想定される脅威に対する様々な計略を駆使し、新しい監視体制を敷いたりインターネットへのアクセスを制限したりする。その一方で、非難や抗議を隠ぺいするために購買と消費の自由を促進した。すべてが良い方向に進んでいると見られる新体制だが、実は臆面もない権力者たちの職権乱用に他ならず、それに気付いたのは普通の男女からなるひとつのグループだけだった。彼らは新体制の嘘を暴くことに奔走する。偉大な小説家の遺作となるこの作品は架空の政治問題を力強く描いた群像劇で、またしても読者に感動を与え、良心を揺さぶる。