Tusquets Editores
トゥスケッツ‧エディトレス
出版社
CIF
A08452021
所在地
Avda. Diagonal 662-664, 7ª pl. 08034. Barcelona (España)
1969年創立のトゥスケッツは文学、エッセイ、詩、歴史書、伝記、⼀般向けの科学書を出版する。また当社か.出版するスペイン語圏作家の大半のために外国向け代理業務も⾏っている。
アドリアンはとても変わった青年。それは彼の行動に自閉症の特徴が見られるからだけでなく、7番目の子どもだからだ。山の伝承によると、7番目の子どもはオオカミ人間に変身するという。さらに、時々夜になると奇妙な発作に襲われるせいで、アドリアンは誰からも理解されない。そこで、村を出、今は兄セノン、兄の恋人、仲間と呼んでいる自分の犬とともにワゴン車で暮らし、スペインじゅうを放浪している。違法すれすれの商売でどうにか生計を立てながら、アドリアンは大人の世界で自分の場所を見つけようともがき、愛とセックスをおぼえていく。そして彼は一匹の黒い犬との関係によって、暴力的でめちゃくちゃな父親のためにつらかった子ども時代の自分を払拭し、再起をはかろうとする。若者が生きのびていくさまがなまなましく描かれ、読むものをひきこむ物語。若者の語りで、忘れがたい鮮やかなイメージが立ち上がる。
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文学
オオカミ人間
Lobisón
ヒネス‧サンチェス
Ginés Sánchez
Tusquets Editores
エル・ビキンゴは年老いた元プロレスラー。自分がまだ、どんな職務もやりとげられるタフな男だということを勤め先の警察の上司たちに見せたくて、同僚とともに何人かの容疑者の若者を留置所に連行する任務をかってでる。その翌日、マリア・エレナというひとりの家政婦が、かつての主人の孫の元で働くことになり、新婚家庭をたずねるが、家には誰もいない。事情をたずねてまわったり、日増しに不安を募らせる家族からの電話を受けたりするうちに、マリア・エレナはこの失踪の裏に、何か非常に重大な事実が隠れていると直感する。そこで、警察にいる古い知り合い、エル・ビキンゴに頼る。彼はかつて彼女の主人の護衛をしており、彼女に言い寄ったことがあった。マリア・エレナは何も知らずに孫夫婦をさがすうち、野蛮な逮捕現場に出くわし、反政府グループの言い争いを目撃し、フードで顔を隠した反政府グループの中に、見知った人物の顔をちらりとみとめる。自分の娘と孫息子の居所も考えるうち、マリア・エレナの不安は苦悩に変わっていく。
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文学
女中とレスラー
La sirvienta y el luchador
オラシオ‧カステジャーノス=モヤ
Horacio Castellanos Moya
Tusquets Editores
ニノは9歳。父親は治安警察で、アンダルシアのシエラ・スル山脈の村に住んでいる。ニノは1947年の夏を忘れることがないだろう。その夏、ポルトガル人のペペという魅力あふれる男に出会い、父親のように治安警察官にはならないと誓って、ルビアス農場でタイプを習い始める。農場は未亡人と孤児たちの女だけの所帯で、山際の土地でなんとか凌いでいる。ペペやルビアス農場の女性たちとともに、ニノは冒険小説のおかげで新しい世界に出会い、誰も彼に話してくれなかった真実を知る。シエラ・スル山脈では戦いが起きていて、相手はセンセロ率いる山賊だということ。ニノは山賊たちを屈強な無法者以上の者とみなすようになり、最後には、なぜ父親が彼にタイプを習わせたがるのか、その理由を理解する。
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文学
ジュール‧ベルヌを読む少年
El lector de Julio Verne
アルムデナ‧グランデス
Almudena Grandes
Tusquets Editores
2、3本のかなりさびれた通り、それだけがハバナのチャイナタウンの名残だ。キューバ人の元刑事マリオ・コンデはそこに足を踏み入れた途端、何年も前、1989年に既に来たことがあるといやでも思い出す。魅力的な警部補のパトリシア・チオから不思議な事件を解決するために手を貸してくれと頼まれたのだった。ペドロ・クアング老人の殺人事件。老人は指1本が切りとられ、胸に丸と2本の矢の絵を刻んだ状態で、首を吊って発見された。これはサンテリア教(キューバの民間信仰)の儀式だった。捜査は街の近隣地域へと広がり、コンデは意外なコネクションを発見する。秘密のビジネス、多くのアジア系移民家族の現実をさらけだす自己否定と不幸の物語、彼らのキューバ人との散発的なコンタクト。中国のことわざにあるように、蛇の頭にたどりつくには蛇の尾を見つけるべし。無秩序な街をさまよいながら、コンデが過去と現在を行きつもどりつするうちに、友人、女たち、危険などに彩られた混沌とした世界の空気を、読者は再び吸うことになる。コンデ・シリーズの1冊。
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文学
蛇の尾
La cola de la serpiente
レオナルド‧パドゥーラ
Leonardo Padura
Tusquets Editores
電車の運転士が、4人の人物の死について許しを乞う手紙を残して自殺する。手紙の中で、犠牲者の中のひとりの子供について漠然と触れられている点が、「ヌエストロ・ティエンポ誌」の編集者ベロニカ・ローゼンタールの注意を引く。ベロニカは妥協を許さない生粋のジャーナリスト。真実と正義を追求することに情熱を燃やし、ヘビースモーカーで、酒に目が無く、妻帯者に弱い。ベロニカの調査を阻むことができるものは何もない。しかし、彼女が遭遇するのは、邪悪な企みをはるかに超えたもので、ベロニカはSMゲームの迷路の中で彼女についてゆく運転士とともに、自分の欲望の最も暗い部分と対決することになる。最高にエキサイティングなリズム、狂った愛の物語、忘れることのできない登場人物が織りなす推理小説で、肉体、愛され、失われ、殺された肉体が支配的な地位を占めている。
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文学
肉体の脆さ
La fragilidad de los cuerpos
セルヒオ‧オルギン
Sergio Olguín
Tusquets Editores
ムルシア、サン・フアンの夜。3人の登場人物が経験する忘れがたい物語。メキシコ人のハシントはドン・ホルヘのボディーガード。ボスがパーティに興じている間に、身内を殺した殺し屋たちと決着を付けなければならない。マリアはその夜新しい経験をして家族のゴタゴタを忘れたいと街に出かけて来たティーンエージャーの女の子。ハシントとマリアが出会う。マリアは、近所に住む孤独で謎めいた男ヒネスが、彼女がその夜いた場所をくまなく歩き回り、ドン・ホルヘのパーティに参加し、ハシントと知り合いだということを不審に思わない。独特の雰囲気や集団の中をさまよう3人の登場人物の秘密の生活をめぐる、ダイレクトで、心をつかむ物語。こういった人びとの様子や雰囲気をこれほど生き生きと描いた文学は最近あまりない。様々な人生が合流し噴出し、危険とバイオレンスにみちた夜、思いがけないラブストーリーが生まれる。
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