こんなにたくさんの動物たちが集まってここで何しているのだろう? 王様選び! 状況からみて、最後に王座につくのはどう見てもライオンのようだが、雌ギツネは陰で権力を操るためにあらゆる策略を巡らすだろう。すべてを支配する快感に浸りたい、その昔からの願望に突き動かされ、主人公(雌ギツネ)は、だまし、嘘、ずる賢さ、巧みな話術を駆使して陰謀を企てる。しかし、この作品は本当は動物の話ではない。動物は登場するが、人間の本性の暗い面を描いている。ラモン・リュイの『El Libro de las bestias(獣の本)』には、群像寓話の衣の影に、権力闘争における人々の行動に関する皮肉がこもっている。権力闘争においては、嫉妬、野心、残酷から悪が生まれる。