ジャーン! アグス・ピアノラを紹介します。そそっかしくてちょっと図々しい男の子だけど、いいやつだよ。部屋を片づけなきゃならないのはわかってるけど、いつもママにいわれるまで手をつけない。だって、なかなか始めるチャンスがないんだ。散らかった部屋ではボールやらゲームやら作文やら、いろんなものがなくなるけど、代わりに別のものが見つかることもある……。
マールとアレックスはきょうだい。あいにく生まれた日が364日しか離れていないので、なんでもかんでも一緒だ。学校もクラスも遊び仲間も。左腕の母斑まで一緒で、これにはたくさんの伝説がある。すれ違っても、注意をひくような子たちじゃない。だけどふたりには、難しい謎にもけっして怖気づかないという秘密がある。
6歳以上の子ども向け絵本。様々なバージョンのある口承伝説を下敷きにしている。死も人生の一部だということを子どもたちに教えてくれる本。ジャックの母さんは重い病気で、もはや生よりは死のほうに近づいている。浜辺で泣いていたジャックは、母さんを迎えに来た死神と出会う。そこでジャックは死神をだまし、瓶のなかに閉じ込めて素早くふたを閉めることに成功した。それ以来人も動物も、植物も死ななくなる。世界は大混乱に陥り、ジャックは母さんから、死神を外に出すよう諭される。
ルカスは、自分は飛ぶために生まれてきたのだと思いこんでいた。飛行機を見て、あらゆる種類の翼を作ろうとした。クリスマスプレゼントに、「飛べること」をお願いさえした! だけど、どれもうまくいかないようだった……。そんなある日、夢をかなえる方法はほかにもあると母さんがいって、ルカスに1冊の本を手渡した。その日、いつのまにかルカスは飛び始めた……。
1940〜50年代のスペイン、農家が点在する、マエストラスゴのある村で展開する小説。一帯の森林にはマキ(反フランコゲリラ)が潜む。その家の娘のテレサは物心両面からマキのゲリラに加担しているが、夫を治安警察に殺された母親は、そんな娘の行動に気をもんでいる。末息子が語り手となり、秘密と暴力に満ちた村の状況を明らかにしていく。テレサと親しいマキのゲリラは、治安警察のスパイだった。それがきっかけで、ある誤解から銃撃戦となる。一家はゲリラと治安警察との戦いによって翻弄され分裂させられる。
この物語は、他者に対する自分自身の価値を教えてくれる。わたしたちはときとして、人の持っているものばかりが気にかかるのだが、大切なものや真実のものは、かけがえなく貴重で唯一にして無限の、ひとりひとりのなかにあるのだ。
ポルトガルの伝説を題材にした絵本。海と山、ふたりの巨人がひとりの人魚に恋をして、対決することになった。伝説の再話と挿絵は2014年ボローニャSM財団賞を受賞したポルトガルのイラストレーター、カタリーナ・ソブラル。
11歳の女の子、ウルスラの生活はちょっと複雑。何度も小学校をかわり、母さんはメトロポリタン美術館から絵を盗んで、逃亡生活を送っている……。ちがう……、そうじゃない。ウルスラはレベッカと名乗る11歳の女の子で、母さんを消してしまった魔法使いたちが大嫌い。それともレベッカは有名なスパイで、追跡をかわすためにウルスラと名乗っている? まあ、いずれにしても11歳で、箱のなかの5匹のミミズと、宇宙で迷子になったネコを飼っている。
今日誰がサラ・アマットのことを憶えているだろうか? ある夏の夜、行方不明となったとき、彼女は13歳かそこらだった。以後何もわかっていない。ただ、翌日タラサ新聞にニュースが出て、多くのうわさや憶測が飛びかっただけだった。だが、この物語の語り手である、サバテール家のペップは彼女のことをよく覚えている。というのも、彼の話によれば、サラはその夜、姿を消したのではない。彼の家に裏口から忍び込んだからだ。
家で一番小さな子の部屋に、夜ごとひとりの客が現れ、恐怖からか感動からか、その子を震え上がらせる。マルガリータの文とナタリア・コロンボのイラストが最後まで興味を持続させつつ、なんだかわからないもの、立ち向かわなくてはならないコントロールできない物や状況に対する子どもの恐怖心を描く。サスペンス調の楽しい語りは、子どもたちをひきつけずにはおかない。