午後、しばらく釣りをしたあと「祖父はよく僕を自宅に連れていったものだった」。そこでこの物語の若き語り手は、釣り針の「後戻りのできない残酷さ」で傷ついた魚になることの意味を、海に向かっていた時以上によく理解する。しかし魚は「大きくても小さくても、強い歯があってもなくても」釣られないように最後の最後まで闘うということも思い知る。釣り糸のように透明で堅固な文体の本作品は、その決定的闘いのさ中に私たちを引きずりこむ。読者はまた、音の出るイラストという新たな仕掛けに出会う。
El Cementerio de los Ingleses(英国人墓地)でトレスは、ヨーロッパ、特に英国のロマンチックな旅行者たちがスペインを訪れていた時代へと我々を運ぶ。本書は、18〜19世紀、そして20世紀初頭に、外国人旅行者たちがスペインに見出した目新しさや異国情緒を映し出し、スペイン初のプロテスタント墓地であるマラガの英国人墓地のことと、そこに眠る人々の人生を語る。彼らこそ、南スペインの外国人居住地の魅力的なモザイクを形作る唯一無二のピースである。
とっても知りたがりの目、ソーセージの鼻、おしゃべりな口、うちわみたいな耳、足、手……、さあ、きみはどんなふう? 楽しくて創意に富んだ、身近な話題の10の子ども向けお話からなるRimar i somiar(詩を作って夢を見る)コレクションの1冊。人体、季節、動植物、発明、職業、街など多くのテーマを、カルメン・ヒルがウィットに富んだ音楽的文章で子どもたちにわかりやすく伝える。定評ある画家たちのオールカラーのイラストが、ページを感性豊かに彩る。
放課後、週末、夏休みや冬休み……。ずっと遊んでいられるって、なんて楽しいんだろう! 想像すればいくらでも遊びはある。どれが一番好き? 楽しくて創意に富んだ、身近な話題の10の子ども向けお話からなるRimar i somiar(詩を作って夢を見る)コレクションの1冊。人体、季節、動植物、発明、職業、街など多くのテーマを、カルメン・ヒルがウィットに富んだ音楽的文章で子どもたちにわかりやすく伝える。定評ある画家たちのオールカラーのイラストが、ページを感性豊かに彩る。
ゲイとして生きることは難しい。ゲイであることの素晴らしさを語る映画や連続ドラマ? ありのままの君を好きでいてくれる、今風の同級生? 無条件にきみを支えてくれる両親? 全部嘘っぱちだ。現実はそんなに甘くない。少なくともこの物語の主人公にとってはそうだ。ありのままの自分を受け入れてくれない人々のせいで、まさに地獄に置かれている。だが、事態がどうしようもなく紛糾したとき、主人公はひとりの都会の少年と出会う。世界に対する見方がまったく違う、その少年に助けられて、主人公は選択をせまられる。
パリはパーティーのようなもの。ベル・エポックの光が、アブサンとアヘンが自由に行きかう自堕落なモンマルトルやピガールの夜を照らしだす。しかし、路地や貧民街から離れたある上品な並木道で、斬首されたムッシュー・ボナンシューの死体が発見される。これといった手がかりも動機も見当たらなかったが、殺されたこの紳士には密かに情熱を傾けていることがあった。自宅の錬金術の実験室にこもり、賢者の石を求めて日々を過ごしていたのだった。
13歳になるまで、ぼくの人生にはなんの苦労もなかった。13歳と30日目の今、じめじめした見知らぬ部屋で、目隠しをされおんぼろの椅子に縛りつけられている。こんなこと、ぼくの年頃のだれにでも起こることじゃないのはわかってる。だけど、みんなはホワイトタイガーの息子じゃない。でも、ぼくはそうなんだ。
ポルベニル村に冬が来て、悪いニュースを運んできた。手紙が少ないため郵便局を閉鎖し、職員を異動させることになったというのだ。山の中でさえソーシャルメディアやeメールやWhatsApp(注:LINE と同種の通信アプリ)が勝ったようだ。村で唯一の郵便配達人であるサラはこの村で生まれた。3人の幼い子どもたちとここで暮らし、近所に住む、80歳になる老女ロサと多くの時間を共に過ごしている。
世界を旅していたテオドシウスおじさんが、とても変わった標本を持って帰ってきた。だれもが絶滅したと信じていた、ドードー鳥の標本だ。あいにくこの哀れな鳥には、多くの敵がいた。ジェームズ・モリアーティの父親が探検家のおじさんの帰還を祝って開いた盛大な歓迎パーティの招待客の数くらい。ジェームズ・モリアーティは活発でもなければ、世界一やさしくもない子どもかもしれないが、なにかに打ち込み始めると、なにがあっても立ち止まらない。
ロンドンは謎と驚きに満ちた街だ。特に、行く先々で問題を探し出してしまう人にとっては。のんびりした休暇になると思いきや……。ジェームズ・モリアーティは大英博物館をおとずれ、さまざまなものと出会う。耳を疑うほどバイオリンがうまい子ども、巨大グモ、忌まわしい過去を持つ建物、正体不明の発明家、世界一大きな食虫植物、牙に強迫観念を持つアイルランド人青年、ロンドンのどまん中にある、入ると出てこられない熱帯のジャングル。人のいいジョン・ワトソンはトラブル続き。