学校の帰り道、カンデラはいつもツタのからまった屋敷の前を通る。怖いのでいつもは足を速めて通りすぎるのだが、今日はひとつ、いつもと違うことが目をひき不安になった。2階のバルコニーのガラス戸が少し開いていたのだ。しかも、ささやき声も聞こえてくる気がする。だれか中にいるのだろうか。謎に満ちた冒険ミステリー。
スリラー。恐怖小説。1年間つきあってきた優雅な英国紳士エドワード・ベネットが、自分の母に引き合わせるため米国から英国まで旅をしようと持ち掛けたとき、これが人生最悪の旅になろうとはアマンダ・クレスリーは思ってもみなかった。英国の田園地帯にある美しいチェルストン・ハウスは、エドワードの母メレディスが暮らすのどかな邸宅だった。しかし、最初は素晴らしい滞在になると思えたのだが、チェルストンの実態は見た目と全く違っていた。
ソニアはインターネットの文学交流サイトでヌットと出会い、700キロも離れた場所にいるにもかかわらず、強迫観念と奇妙さに彩られた奇妙な関係ができあがる。通常の社会規範の外に身をおき、豪華な盗品をプレゼントして口説いてくる、完璧主義者のとんでもない男ヌットに、ソニアは反感を持ちつつも魅了されずにいられない。「缶詰を1個盗みに行くときですら身なりを整えているのを好む男」ヌットは、若いが19世紀の作家について語り、哲学し、あらゆることに疑問を持つ。
バルセロナ出身のエキセントリックだが有名な熟年の女流作家が兄弟の家に現れ、いきなり無愛想に言い放つ。「想像つくと思うけど、ここに死にに来たよ」別の40代の女性は金に困り、絶望的状況から逃れようと愛人の腕に必死で身を委ねる。追い詰められたふたりの女性は、極限状態の中で助け合わざるをえなくなる。殆ど共通点がないふたりだが、次第に見えない絆で結ばれていく。相手を理解しなければと思いつめた若い方の女性は、女性作家を過去を調べあげ、その伝説を知り、彼女の最期を受け入れられるようになる。
何気ない日常にひそむ突拍子もないこと、不可解なことを発見する天才である、現代スペイン有数の反権威的で妄想にあふれる作家サン=バシリオの新作。韓国の輝かしいスター集団を、ユーモアと驚きをもって覗き見る。占い師のもとを頻繁に訪れるヨンセイ大学の学生。脚本家たちに殺されると恐れるテレビコメディの俳優。ソウルの地下鉄のショッピング街で木製のアヒルを売る90代の老婆。世界一よく売れている菓子パンの試食用割引クーポンをもっているカップル。韓国のフランチャイズカフェのバブル。