バルセロナ出身のエキセントリックだが有名な熟年の女流作家が兄弟の家に現れ、いきなり無愛想に言い放つ。「想像つくと思うけど、ここに死にに来たよ」別の40代の女性は金に困り、絶望的状況から逃れようと愛人の腕に必死で身を委ねる。追い詰められたふたりの女性は、極限状態の中で助け合わざるをえなくなる。殆ど共通点がないふたりだが、次第に見えない絆で結ばれていく。相手を理解しなければと思いつめた若い方の女性は、女性作家を過去を調べあげ、その伝説を知り、彼女の最期を受け入れられるようになる。予見できない魅惑的な作家の肖像と、その失墜を綴った小説。文学の中に救いが見出せるという希望に照らされて、狂気と正気、優しさと激怒のエピソードが次々巻き起こる。