晩年にさしかかったイレーネは、まだほんの子供の頃に彼女の人生を永遠に変えたできごとを思い出している。あの数日後、グラナダの海とマドリードへの引っ越しまでの間のあの頃からずっと隠し通すことになる秘密が生まれた。彼女の物語は、聖職を放棄し、過去に直面することを拒む孤独な老人エンリケの物語と絡み合う。 彼はソリアの、山に守られた小さな村にある荒廃した屋敷に住み、あらゆる時空から隔絶していると感じている。 ふたりとも時々、心を許して打ち明け話のできる若いカップル、マリアとアロンソとつきあっている。
ガラスの地と呼ばれる世界に、星と話す民が住んでいた。その土地では年配者が子供にとても小さいうちから星とコミュニケーションする術をおしえるのだが、言葉ではなく心を使う。ガラスの地の子どもは7歳になると大きなお祭りをして、自分が交信することを学ぶ星を選ぶのだ。クリソルは緊張していた。その晩、誕生日を迎えた彼は、お祝いの後で自らの星を選ぶことになっていたから。自分自身を信じることと自尊心についての童話。
2014年マドリード。サラは、3歳の娘シャムの父親の身を案じ、不安にさいなまれながら暮らしている。彼はダマスカス(シリアの首都)で行方不明になり、消息がない。気持ちを落ち着けようと、サラは彼とシリアで出会い、すべてが始まった2011年のできごとを綴ることにする。そこからはサラの日記の章と、ダマスカスの5人の若者の日常を3人称で描いた章が交互に展開する。
数週間前から、説明のつかない奇妙な出来事についての噂が流れている。見えないパワーに攻撃されたと言う生徒もいれば、ひとりでに空中を動いていく物体を見たとか、不可思議な存在が廊下で待ちうけているのを感じたという者もいる。いったい何が起きているのか。「声」にはあらゆる趣向の理論が集まるが、一番支持を得たのは超常現象だとするものだった。つまり、あのよく知られた「屋上の少年」の悲しい物語をみなが思い出す……ということは、中学校に幽霊がいるのか。
おじいちゃんはひどい病気で、おばあちゃんが面倒をみてる。食事を作ったり、薬をあげたり、お風呂に入れたり、一緒にいてあげたり。おじいちゃんには孫娘がいて、一緒にいるととても楽しい。ふたりは口笛を吹いておばあちゃんをからかったり、秘密を話し合ったり、大笑いしあったりするが、ある日、突然すべてが変わることになる。
ジャングルは動物にあふれ、わずかな数の人間が、わくわくするような、そして時に危険な環境で生きている。そんなジャングルの様子が、オラシオ・キロガによってとてもユーモラスに語られる。若い読者たちは、ワニたちがいかにして人間の脅威から川を守るか、どうしてフラミンゴは一本足で立つのかについて楽しく読むことできるだろう。また小さなハナグマが身を粉にして子どもたちと共に暮らす話、カメが甲羅の上にひとりの男を乗せて命を救う話に興奮するだろう。これらの物語は何よりも、自然や連帯に対する賛歌なのだ。
El año de Los Saicos(ロス・サイコスの年)は、1964年のリマ社会の内部事情を辛辣なユーモアで語る。この年はリマ出身のロック・グループ、ロス・サイコスが登場した年で、当時、リマの社会は偽善的常識の尊重と個人の品格低下の間で身動きできなくなっていた。嘘が怪しげな生き残り戦略となり、登場人物のひとりが言うように「誰もが嘘をつく」社会だった。 この小説は「良家」のいとこふたりによる女中への誘惑をめぐる出来事を描く。
1950年代初頭のある朝、アストゥリアス出身の青年パトリシオがハバナ港に降り立つ。パトリシオは、内戦後でまだ暗い影に覆われたスペインの村を出て行きたい一心で、裸一貫だが一旗あげてやろうと意欲満々だった。 光に溢れたハバナの街は彼を温かく受け入れ、友人もすぐにできる。街の象徴であり誇りであるデパート「エル・エンカント」ですぐに仕事を見つけたパトリシオは出世し始め、より責任ある地位について新しい世界への扉を開くが、それは同時に、彼に対して多くの妬みを生むことでもあった。
いろんな気持ちがごちゃごちゃになってしまったことはない? このお話の色いろモンスターはそんなふうに気持ちがこんがらかって、喜び、悲しみ、怒り、恐怖、冷静さを整理することを身につけなくてはならなくなる。表現力豊かなイラストレーションで、子どもが1日のあいだに体験するさまざまな感情を簡単に見つけられる。スペインの学校では、3~5歳のこどもたちの感情教育をするのに欠かせない本となった。
1866年のロンドン、ホセ・ロドリゲス=ロサダは何度となく、自分の過去から逃げるはめになる。子どもの時に親元を離れたあと、彼は政治的理由によりフェルナンド7世の絶対王政のスペインからイギリスに亡命する。そして、故郷よりずっと進歩したロンドンという大都会で、未来への希望がうっすらと見えかけてきたとき、時計職人としての不断の情熱とすぐれた腕前をかわれ、世界じゅうが知る時計、ビッグベンの修理という仕事を大急ぎですることになる。しかし、だれも自分の過去から逃れることはできない。