1866年のロンドン、ホセ・ロドリゲス=ロサダは何度となく、自分の過去から逃げるはめになる。子どもの時に親元を離れたあと、彼は政治的理由によりフェルナンド7世の絶対王政のスペインからイギリスに亡命する。そして、故郷よりずっと進歩したロンドンという大都会で、未来への希望がうっすらと見えかけてきたとき、時計職人としての不断の情熱とすぐれた腕前をかわれ、世界じゅうが知る時計、ビッグベンの修理という仕事を大急ぎですることになる。しかし、だれも自分の過去から逃れることはできない。ロンドンの霧のなか、ある人影が彼の命をねらっている。革新的構造の時計をつくりあげるという自分の夢のためにだけ生き、仕事にうちこむホセ。彼は身に迫る危険から逃れることができるのか? 歴史はできたと告げている。というのも、彼の夢はやがてプエルタ・デル・ソル(訳注:マドリードの中心街の地名)の時計として知られるところとなるからだ。