みんな、ミニモニが大きくなって帰ってきたよ。相変わらずお絵かきは好きだけど、今はハイキングしたり、おばあちゃんと遊んだり、お友達と会ったりするのも大好き。たまに退屈な時もあるけど、でもね、退屈しない方法を見つけたの! ねえ、教えてほしい? ベストセラー『What Colour is a Kiss?(キスは何色?)』 の愛すべき主人公ミニモニが帰ってきた。この新たな冒険では子供の想像力を掻き立てるために退屈な時間が持つ可能性を探る。
本作を構成する3つの短編は、私的でもあり普遍的でもある心象風景を描いている。それが本著の最大の長所。この短編3作は、モラルの破綻というよりむしろ、私たちが生きる21世紀特有のバイタリティの破綻について描く。今の時代、仕事の成功によって私たちの心は小さな達成感に満たされるが、主人公たちは不安で、しばしば出口のない虚無の中に放り出される。
ティーとカメレオンはきょうだい。きょうだいってことは、すごく運がいいってこと。だってふたりの世界は光に溢れ、はちみつのように甘くて、日々、なにか冒険が起こる。大きな紅茶の雲に乗って旅をしたり、釣りを楽しんだり、ドレミの湖でコンサートがあったり。日本人イラストレーターの鹿島孝一郎が描いた世界に入り込んだ、チリ人作家マリア・ホセ・フェラーダが主人公たちの冒険を物語る。ここでは雲や木々、風景を作り出すもの全てがそれぞれ人格を持っている。
1212年、主イエス・キリストの年。激動のヨーロッパ。寄せ集められた集団「少年十字軍」がフランス王国を進んでいく。熱狂的で歓びに溢れる雰囲気の中、それを率いるのは羊飼いの少年、クロイエのエティエンヌ。彼らの目的はエルサレム。武器を全く使わず、信仰の力だけで、エルサレムを解放するのだ。一方、ムワッヒド朝カリフ・ナースィルは、戦々恐々の混乱にあるローマに進軍するためセビリアで強大な軍隊を準備する。カリフは、自軍の馬たちに必ずやバチカンの泉で水を飲ませると誓う。
これは姉弟の物語。弟、ロロ、16歳。姉、レナ、クラックとヘロインに溺れている。レナが家を出て1年が過ぎた。ある日、ロロはマドリードのバラハス空港で姉を見つける。彼女はそこで、つまらぬ盗みを重ねながら金を稼いでいた。ロロは自分と一緒に家に戻るようレナを説得しようと、レナが麻薬を買うスラム街についていく。レナはそこに住んでいるらしい。しかし夜が更け、ロロは地獄のような様相をみせる混乱した現実に直面する。
ラ・アロンドラ(ひばり)ことクリプタナ・センシは有名なソプラノ歌手で、長いことアルツハイマーを患っている。彼女の伝記執筆を依頼されたジャーナリスト、ペドロ・ベンナサールは、記憶を失ったひとりの女性の過去を探っていかなければならない。クリプタナ・センシはなぜ記憶を失ったのか? 何を忘れたかったのか? 何を忘れ去ることができたのか? クリプタナがその生涯のうちにやり取りした手紙を発見したとき、ペドロ・ベンナサールは彼自身の人生も立て直すべきだと気づく。
本書はふたりの男の子についての一風変わった物語(ひとりは心臓病を患うブルジョア階級の子弟、もうひとりはスラム街に住む健康な男の子)。彼らの人生が、彼らと彼らの周囲にとって全く悲劇的なかたちで交差する。これは社会派の物語ではないし、ましてや社会を糾弾するものでもないが、この小説はあまりに近くあまりに遠いふたつの環境を描いている。気取って、虚飾に満ち、野心的で、見かけが全てのブルジョア階級。それに対し貧困と暴力に満ちた環境で、生き延びるのに想像を絶する努力が必要な、社会からあぶれた階級。
若きジャーナリスト、カロリーナは、謎めいた有名な画家マルティン・ベラへのインタビューを依頼される。世間ではこの画家は死んだと思われていたが、彼の絵画作品のうちの1点がプラド美術館に展示され、無から突然よみがえった。マルティンは、インタビュー嫌いだったが、カロリーナの中に何かを感じ、彼女のインタビューを受けることを承諾し、ついには長い間闇に包まれていた家族の大きな秘密を告白する。若きカロリーナにとっては、このインタビューは、彼女の人生を大幅に変えることになるだろう。