本書は小説だが、ひとつの時代全体を忠実に描き出したものでもあり、残念ながら有名になった、警察によるドーピング摘発作戦「オペラシオン・プエルト」をはさんだ前後数年間に、スペインのプロ自転車競技で起きたことを鋭く描いている。光と影の時代:不動産バブルと公的助成金の急増で、数多くの新チーム結成が可能になったが、その浮かれ好景気は暗い一面も伴っていた。読者は若きルカス・カストロを通してその暗い側面を知ることになる。
外に出るたびに風に吹き飛ばされる女の子ペピータ・サルミエントのお話。ペピータがとても遠いところまで飛ばされてしまうことを恐れた家族は、彼女を地上に留めておくための手段を講じた。果たしてペピータを留めておく方法を見つけられるのか。グラシア・イグレシアス(文)とダビド・シエラ(イラスト)が手掛けた素敵な面白い絵本で、どこの家族内にもある多様性をどのように尊重するかを見出すための本。
パウラ・キニョネスは、スペイン内戦中の集団埋葬場所を探すためアサフラン村を訪れる。その不自由な片足を村に踏み入れるや否や、空が彼女の上に覆いかぶさって閉じ込められたような感覚に襲われる。まるで見えないゴムに体を引っ張られ、目的地であるベアト・ホテルから遠ざけられているような感じがしたのだ。そのホテルは「アスフロン」と読める看板の隣にあった。