ラ・アロンドラ(ひばり)ことクリプタナ・センシは有名なソプラノ歌手で、長いことアルツハイマーを患っている。彼女の伝記執筆を依頼されたジャーナリスト、ペドロ・ベンナサールは、記憶を失ったひとりの女性の過去を探っていかなければならない。クリプタナ・センシはなぜ記憶を失ったのか? 何を忘れたかったのか? 何を忘れ去ることができたのか? クリプタナがその生涯のうちにやり取りした手紙を発見したとき、ペドロ・ベンナサールは彼自身の人生も立て直すべきだと気づく。音楽、心の痛み、希望とともに、本書の登場人物たちは印象的である。著者カルメン・グアイタは、『Jilgueros en la cabeza (頭の中のヒワ)』、そして 『El terrario(テラリウム)』に続き、本書で「赦しについての三部作」を完結する。赦されるということは、赦す人の抱えている思いを感じること。