1950年1月14日、アスンは才能というよりも図々しさを武器にコプラを歌っているタブラオへ出向いた。その夜、人生を一変させる人と出会うなど知る由もない。その人物とはアテネオ図書館の司書サントスで、文化的な繋がりや大学生との交流を通して反フランコ派レジスタンスに協力していた。このふたりの間に、外見はごくありふれたものだが、実は非常に特殊な関係が生まれる。サントスはアスンに文学を通した自由と変革の可能性について教え、彼女は見せかけの婚約関係で彼の隠れ蓑になった。
幾度となく襲い掛かる困難に果敢に立ち向かい克服する4人の強い女性が主人公の物語。それはまるで、バレンシアの旧市街にある昔の大衆浴場で700年もの間流行病、戦争、再開発などを生き抜いた施設バーニョス・デル・アルミランテのような途轍もない強さだ。浴場は最も幸せな瞬間や辛い時間が過ぎていく人生の背景幕。
最終的には不運な結果を招いた事故に遭遇したアナ・マリアは、その後3年間エルモシーリョにある病院に入退院を繰り返していたが、そこで複数あった人生の最後のひとつを終えた。死亡後、秘密にしていた過去のライフヒストリーから彼女の最初の人生のひとつが垣間見えた。メキシコシティに住み、夫と4人の子供があったが、そのすべてを手放したというものだ。
カタルーニャ人の銀行員との間に娘をもつ若いエクアドル人女性。現状の壊れた社会に身を置きながら、第二次世界大戦時にナチスが占拠したウイーンから移民した家族を救い出す方法を探す。憎しみ、子育て、新しい人生の模索に縁どられたニューヨークの暮らしだが、毎日のように家族の記憶の映像がとめどなく彼女の心に飛び込んでくる。
フラメンコを題材にした小説。この複雑な芸術に関する知識を追求するなかで青年ギタリストの身に起きる予期せぬ出来事を綴る。エバ・ジェルバブエナ、ロシオ・マルケス、ビセンテ・アミーゴの序文から始まるフラメンコの魅力の探求には、エストレージャ・モレンテ、カルメン・リナーレス、ハビエル・バロン、アルカンヘルといった大勢のアーティストが登場し、この古典音楽への理解を深める手助けとなってくれる。
読んだ人の心からいつまでも離れない、独特で意表を突く、自由で個性的な一冊。翻訳者である語り手は最近、講演を行うため日本を訪れた際、18世紀の風変わりな思想家、キンダイチ・ヒロシの考え方と人物像を知る。
桜の花がもう咲いている。桜の一族の人々が総出で小さな娘トモエを探すが、彼女はサクラの主にかどわかされ、山の一族で新たな人生を歩んでいた。師匠であるキヘイの保護下に入ったトモエの将来は、星が輝く夜のように前途洋々。ハルキが影となり、彼女に運命づけられたあらゆる不幸を自分に引き寄せ、死してなお彼女に付いていく。シオダは彼女の夫となり、山の一族を継ぐ。
『La experiencia U-feeling(ユー・フィーリング体験)』シリーズ(
8月終わりのある午後。16歳になったばかりのカタリーナは、ある不愉快な出来事が起きて郊外の団地にある親友の家を飛び出す。幹線道路までやってきた彼女は、家に帰るにはヒッチハイクをするしかないと決意。同年代の若者と同じように自分だって知らない人の車に乗るのは怖い。でも、両親が決めた厳しい門限を守らなかったらどうなるかと思うと、大したことはない。90年代初頭を舞台に描く、自身の体との複雑な関係、そして「女だから悪い」と思わせようとする世界に対する恨みを抱えた少女の物語。
文学や映画はこれまで数多くの架空の登場人物を生み出してきた。中でも「魔性の女」タイプの人物は、トロヤ戦争の原因を作ったとされる移り気なヘレネや全人類に罰をもたらした軽率なイブなど、古くはギリシャ神話や聖書にも登場するほど長い歴史があるが、この200年で特に登場頻度が高く変遷も激しい。