読んだ人の心からいつまでも離れない、独特で意表を突く、自由で個性的な一冊。翻訳者である語り手は最近、講演を行うため日本を訪れた際、18世紀の風変わりな思想家、キンダイチ・ヒロシの考え方と人物像を知る。今日でもほとんど無名のキンダイチは型破りの異端な神道信者で、当時の社会を敵に回しながらも、自然との対話や、自然そのものが放つ精神的な驚きをいち早く説いた。語り手は、キンダイチの異端な世界を研究している専門家の助けを得ながら日本で心の旅を始め、キンダイチの人生と思想を見つけ出す。旅と時間移動、キンダイチの人生の浮き沈み、日本とオランダとの関係、さらにはディドロのいるヨーロッパにやって来たキンダイチの一風変わった暮らしぶりも描いたハイブリッド小説。