ニコはマリアのクラスに来た転校生。すごく無口だし、走ったりジャンプしたりしないから、みんなから相手にされない。特別な男の子だ。だけどみんなよりものごとを深く見ることのできるマリアは、ニコとサッカーをしたり、手を叩いて遊んだりする方法を考えだす……。友情と障がいについての感動的な物語絵本。対象年齢6歳から。原作の同名映画は2014年のゴヤ賞ショートアニメ部門で最優秀賞を獲得し、史上最も多くの賞を受けた短編アニメとしてギネスブックで認定されている。
住所不定のある男との友情は、真面目なある学生をどんな怪しげな情動にかりたてるのか? 息子の文学的資質に無関心な、ごく平凡な両親のもとで育った青年は、出所が怪しい金を使いちらす男によって、危険で不道徳な未知の世界へと導かれる。本の中でしか知らなかった領域に入りたくてたまらない、危険を求める青年と、アウトサイダーのような人生を送って得体のしれない男との間には、曖昧な親愛の情や、利用したり惹かれたりという絆が創られていき、ふたりはある冒険を共有することとなる。
ダミアンは失業して以来混乱している。ある日骨董市でちょっとした盗みを働き、たんすに隠れるが、彼が入ったままたんすは売られてしまう。ルシアとフェデという夫婦の部屋に運ばれたたんすの中で、ダミアンは家具の一部であるかのようにそこに居着く。ありえない設定を、いかにももっともらしくラストまでもっていく巧みさが、小説に格別の緊張感を与える。ダミアンは、隠れ場所からルシア夫婦を観察するうちに、ルシアの心や恐れや夢に寄り添うようになる。
強力なハリケーンで、マイナウニの街は壊滅状態に陥った。ストリートで暮らす幼なじみの3人の少年、サン、イボ、タジルは、災害後に打ち捨てられた家々に盗みに入ろうと決める。リーダーのサンは成功まちがいなしだと言い、従順なタジルは賛成した。だがイボは、もっと別の生き方があるんじゃないかと考え始め、アダミアとの出会いが、根なし草の生活を変えるターニングポイントとなった……。暴力が支配する阻害と絶望のなかで育まれる友情と愛の物語。
枢軸国とのつながりが明白であるにもかかわらず、フランコ体制が第二次世界大戦後にも存続したのは、終戦後に構想された国際関係の新しい秩序における概念的歴史的アナクロニズムの結果だった。本書は、1975年に死去するまで独裁者フランコが権力の座にとどまるのを可能にした、1945年から1953年までの複雑な世界情勢の外的な決定的要因の説明を試みる。
川や湖、海、泉は、歴史が始まって以来無数の作曲家たちにインスピレーションを与えてきた。本書はCDつきの子ども向け絵本。これまで多くの音楽家が、生命力あふれる水をテーマに作品を書いてきた。それらの曲を聞くと、音を通して水が目に浮かんでくる。透明感、流れる音、大波のうねり……。そういった水のさまは美しい音に移しかえられ、バロックの時代から現代まで、いくつもの忘れがたい曲となってわたしたちのもとに届いている。
1924年。レビリョ教授の世界動物実験室が脚光を浴びた数年後、最新の研究成果を披露するため、教授が戻ってきた。レビリョ研究所は動物の進化に貢献し、生き物を直立させるための実験に取り組んでいる。そのため「レビリョラマ」と題するショーを、現在の研究所の本部である進化パレスで行うことにした。
1938年。ヒットラーにより世界平和は脅威にさらされていた。ナチスはどの国に対しても不滅の体制を誇っていた。だが、実際にはそうではなかったのは、ある意味、ガルボという偽名で知られるフアン・プジョルがいたからだ。ガルボは自信に満ち、更にはごまかし、大胆さ、尽きない想像力、人間的魅力などありあまるほどの長所があった。1940年、彼はそれまでで最も重大な決断を下す。ナチスを倒すまで闘うこと、しかもそれをドイツ軍の内側からしようというのだ。しかし彼はひとりではなかった。
El gato que no quería ser gato(ネコになりたくなかったネコ)、El secreto de Esmeralda(エスメラルダのひみつ)、Un héroe llamado Miraralcruzar(ヨクミテワタールという名のヒーロー)、El secreto de los dulces robados(ぬすまれたお菓子のひみつ)、El mercado de los jueves(木曜日の市場)の5編を収録したお話集。
1615年のマドリード。バルセロナから到着したばかりの若者が、迷路のように入り組んだ凍てつく人けのない道を歩き回り、ようやく目的地にたどりついた。死期が近いひとりの老人が毎日通うみすぼらしい居酒屋だ。老人はミゲル・デ・セルバンテス、『ドン・キホーテ』の生みの親だ。若者は作家セルバンテスに謎めいた小さな古い櫃を渡すという使命をおびていた。櫃と引き換えに、セルバンテスは40年前の出来事を語らねばならない。亡命の途中でバルセロナに避難したおたずね者の郷士だった時のことを。