バスク武装組織ETAが武装放棄を発表したとき、ビトリは、テロリストに殺された夫の墓前で、彼らが住んでいた家に戻る決心をしたと報告する。彼女自身と家族の人生をめちゃくちゃにしたテロ事件の前も後も、彼女に嫌がらせをした人々と同じ場所で暮らすことができるだろうか? ビトリの存在は、村の、特に隣人ミレンの見せかけの平穏を乱すことになる。ミレンはかつて親友だったが、ミレンの息子のホセ・マリは投獄中のテロリストで、ビトリにとって最悪のテロ事件の容疑者だった。
1960年、北極海。ヤンマイエン島の向かいに停泊する古い探査船「エリダヌス号」では全てが変わってしまった。ほんの数日間で、乗組員の船室は留置所に、食料貯蔵庫は取調室に変身。バッヨネと謎めいたドット氏は、そこで執拗なまでの取り調べを進めている。今は船医のクリスティアン医師を尋問する番だ。彼は病気で苦しんでいる。記憶が抜け落ちているかと思えば突然正気を取り戻し、霞がかかっていた部分をはっきりと思い出す。
この小説は、調査報道記者として有名な著者が、スパイ・政治・経済の世界につながりを持つ人物におこなったインタビューから生まれた。主人公はスペインのシークレットサービスCNIの秘密情報部員アナ・マルドナド。彼女はある悪魔教団に潜入する指令を受ける。その教団にはスペインの要人たちが名を連ね、CNIが持つデータによれば、CIA(米国中央情報局)の隠密作戦のための隠れ蓑である。