1960年、北極海。ヤンマイエン島の向かいに停泊する古い探査船「エリダヌス号」では全てが変わってしまった。ほんの数日間で、乗組員の船室は留置所に、食料貯蔵庫は取調室に変身。バッヨネと謎めいたドット氏は、そこで執拗なまでの取り調べを進めている。今は船医のクリスティアン医師を尋問する番だ。彼は病気で苦しんでいる。記憶が抜け落ちているかと思えば突然正気を取り戻し、霞がかかっていた部分をはっきりと思い出す。その容赦ない尋問中、クリスティアン医師と彼の助手ムター、および他の乗組員を結びつけている奇妙な関係が浮かびあがってくる。また戦争の記憶、以前の旅の記憶、そして彼らの雇い主であり、船を厳しくコントロールする船会社「ラ・セントラル」の異常な介在など、トラウマとなっている記憶がちらつく。