「本書は、ある家系の消滅についての、そして、ある暮らし方の破滅についての記録である。選択肢のない人生を生きる人々を追い詰める残酷さ」銃声が響きわたり、山が震える。ピレネー山脈を震撼させた兄弟殺しの物語。1943年、アンドーラ国は近隣のヨーロッパ諸国からふりかかる戦火にどうにか耐えていた。スペインは内戦後の最悪の時期にあり、共和国側の人々が国外に脱出し、ファシズムが君臨していた。フランスはナチスに占領され、ナチスは特にアンドーラの山々の制圧に関心を寄せていた。
ナーヤは中国仏教神話に起源を持つ、道教における守護神で、殷王朝の時代に軍の要塞で生まれたとされている。父のリ・ジンは総督兼司令官であった。母親のインは、妊娠して3年6ヶ月の後、蓮の花が入った玉を産み・・・物語はそこから始まる。このストーリーの原案となるのは(道教の少年神)哪吒(ナタ)の物語だが、既に知られている内容の模倣にならないよう脚色されている。
ある吸血鬼一家のお話。今日、初めてニコレタの歯が抜けた。夜になり、プレゼントとの交換を楽しみに枕の下に置いた。するとすぐに変な虫たちが部屋に入り込み、その大切な牙を盗んでいった。果たして無事に取り返すことができるだろうか? さあ、ニコレタと一緒にこの冒険に出かけよう!
浜辺? 山? 外洋のクルージング? それともスポーツ競技? 瓶は冒険に満ちた一生を夢見ていた。リサイクルの黄色いボックスに入れられて終わるなんて、大して良い計画だとは思えなかった。でも、多くの人は知らない。夜になるとリサイクルボックスは、踊ったり、歌ったり、時には夢を見たりする者たちでいっぱいの不思議な場所に様変わりするのだ。もしゴミ箱に捨てたものが新たな人生を持てたとしたら? この物語では私たちが捨てたものに生命が宿り、ゴミを排出する私たちの自覚を促す。
ゲーテとシラーが共に過ごし、その後の彼らの作品にとって、またふたりの関係にとって決定的な意味を持つことになった1794年の夏の数日間へと読者を誘う。友情の物語であり、同時に神話の後ろに隠れた人物の夢や苦悩、心の奥底の野望、誰にも明かせない恐れの物語である。ヨーロッパ文学において最も影響力のあるこのふたりの作家は、常に生涯の伴侶である女性たちに守られていた。彼女たちはしばしば、完全な闇にとざされてしまいそうになる彼らの唯一の光だった。
4人の友からなる2組のカップル、そしてすべてを変えていくある喪失。著者の一連の代表的小説『El verano que empieza(始まりの夏)』、『Un año y medio(一年半)』 、『Los viejos amigos(旧友)』に続いて、本作は時の流れや愛、人生の浮き沈みを描く。男性2名、女性2名からなる4人の人物は、人生の本番が始まる前の思春期に知り合う。ソレールが、こまやかで映画的な特徴ある文体で描く物語は、読みだすと止まらず、忠実な読者の心をつかむ。
ある病により終末期にあるエンマ・オルセンは、まもなく死が訪れるのを知り、人生最後の数か月と向き合っている。だが、作家であるエンマ・オルセンは、残された時間で、ある小説を仕上げようと決意する。正確にいうなら小説ではなく、彼女の人生における最も重要な年月、遅かりし青春時代の一人称の記録だ。オルセンは、長年隠してきた秘密の物語を語るために筆をとる。そして、彼女が生まれた、アメリカ中西部の忘れられた小さな町フェイスにもどる。
この小説が語る物語は、まったくありえなさそうだが、実際に起きたことだ。一流の国際的美術館、レイナ・ソフィア美術館は、1986年開館にあたって、北米の有名彫刻家、リチャード・セラに作品を依頼した。だが、38トンもある彫刻作品が、ある日突然……煙のごとく消えた。本書は、ノンフィクションと記録文学とナンセンスの間をいきながら、スリル満点に事件を再構成し、さまざまな疑問をわきあがらせる。
恐怖と不安と不信感を感じさせる不確かなもの。未知の、よくわからない、謎めいたもの。弊社の看板となったアンソロジー『Obscura, Diez relatos(オブスクラ 10の物語)』(本サイト2021年紹介作品。http://www.newspanishbooks.jp/book-jp/obscura-diez-relatos)の第2弾。新たに私たちを、不確かなもの、隠されたもの、未知なるもの、すばらしいもの、震撼させるもの、神秘なるものへと導く。
地球の気候に重要な役割を持つ極地で、自然環境が劇的に変化している。これは気候変動への敏感な反応によるもので、極地外の緯度帯の気候、海洋、環境の動態に直接影響を及ぼす。この本は北極と南極に関する知識の現況―その地質学的進化、この領域における切迫した汚染問題、多様な陸域及び海洋生態系の特徴、過去の進化と将来の極地の気候―を包括的、学際的に提示することを目的としている。最終的な意図は北極と南極の類似点や相違点を面白く、だが明確に説明し、気候変動が極域に及ぼす変質について関心を持たせることにある。