道に迷った人が知らない場所で自分の身に起きたことを語る。来た道を戻ろうとして、驚くべき場所を見つけたり、しばしば、よりによって自分が知っている人や人生における重要な経験と関係のある人々に出会ったりするのだ。それ故、患った病気の明瞭な記憶が際立つ旅は、同時に回帰であり、発見でもある。そして、物語が進むにつれてどんどん始まりの雰囲気を帯びるようになるのは、物語が大切なものの喪失を思い起こさせるからだ。短く、ドキッとするようなシーンの連続で始まり、詩的で簡潔なスタイルで胸に刻み込まれる小説。
本書はアブリル・リッツォとネイト・コリンズというふたりの子どもの物語。ふたりは米国、メキシコ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、イタリアなど様々な国を旅して世界を知ろうとするが、いちばん重要な旅は友情や愛への旅だった。その旅でふたりは涙にくれることになるが、やがて不運を乗り越える。それは幸せになるために欠かせない要素、すなわち夢の再確認と追求、自立、強さ、希望、感謝、許し、そして仲直りのおかげだった。
金魚鉢のなかの2匹の小さな魚がある日、競争しようと考えたお話。その後の出来事が、英語やカタルーニャ語の韻が持つ音楽性や、水彩画の繊細なイラストとともに、遊び心いっぱいに語られる。