ある日、世界が揺れ始め、すべてが宙を舞った。揺れが収まったとき、あらゆるものが散乱し、飼い猫のカリウアは姿を消していた……。アルバ・ダルマウとシンタ・ビダルが贈る詩的で暗示的なこの物語は、周りの世界を違った視点から見てみようとわたしたちに提案する。
人間の半数は、パートナーに性的に不誠実であると認めている。だが、残りの半分は真実を語っているのか、それとも嘘をついているのか? それを証明する唯一の方法は、探偵または電子的な手段を用いてひそかに対象者の生活を調査することだ。本書『CIEN NOCHES (百夜)』はこの人類学的実験を提起している。つまり、同意なしに6000人を調査し、最終的にはわたしたちの社会における性行動についての信頼できる統計を作成すること。主人公イレネは、性欲のなかに人間の魂の秘密を探る。
シアドールのピオガレゴ一家に生まれた仔リスのコシモは、住処にしている樹齢100年の樫の木の病気の治療法を見つけようとして、様々な出来事を経験する。この世に社会が生まれたときから現代にいたるまで、物語は教育に役立てられてきた。エンリケ・マウリシオとカルロス・タボアダによる本書も、そういった役割を担う物語にほかならない。心惹きつけるこの作品で、読者は友情、連帯、自然への愛情といった価値観の大切さに気付き、木や草についての知識を深めるだろう。
マドリードの中心部が、この物語の主人公たちが闊歩する舞台となる。フランコ政権末期の社会と、自分の声を聞いてもらうために戦った、ある世代の勇敢な女性たちによる自由の獲得を余すところなく描いた小説。フランコ政権をもっとも揺るがした汚職事件マテサは、混迷を深めていく時代の政界と社会を揺さぶっていた。この現実をよそに、上流階級の若い娘アデラには、子どものころから知っている音楽家のカルロスのことしか見えていない。
カンタブリア地方の年老いた農夫カシミロは、冬も間近のある日森の中でサミハの妖精に出会った。罠にかかった妖精は意識もなく栗の葉っぱでできた羽が一枚折れている。カシミロは看病のために小屋へ連れ帰ることにした。目を覚ましたサミハの妖精イスナラは、過去の王国や未来の王国についてのお話を聞かせることを交換条件に、この小屋で一緒に冬を越させてくれと頼む。