道に迷った人が知らない場所で自分の身に起きたことを語る。来た道を戻ろうとして、驚くべき場所を見つけたり、しばしば、よりによって自分が知っている人や人生における重要な経験と関係のある人々に出会ったりするのだ。それ故、患った病気の明瞭な記憶が際立つ旅は、同時に回帰であり、発見でもある。そして、物語が進むにつれてどんどん始まりの雰囲気を帯びるようになるのは、物語が大切なものの喪失を思い起こさせるからだ。短く、ドキッとするようなシーンの連続で始まり、詩的で簡潔なスタイルで胸に刻み込まれる小説。夢中になって一気に読むうち、読者は謎の核心へと連れていかれる。「これほど短い頁数でこれほど濃密なものを読んだことはなかった」ジョアン・ジュゼップ=イゼルン(ニュースサイト「ビラウェブ」)