早い段階で学業を放棄した青少年の教育は、彼らの学習能力のなさや社会的無能さを強調するような意見をあれこれと生みがちだ。だが、それは実際にはもっと複雑な現実を覆い隠してしまう性急な判断と言える。本書の中で著者は、排除されるおそれのある若者が、学習能力やコミュニティでの生活能力の点で劣っているわけではないという事実から出発し、環境が人間の統合的な発達に与える影響に着目していく。
人生の危機は、うまく導くことですばらしいものとない得る。現実の挫折に伴う精神的な苦痛や空虚さの下には、自らの内面を見つめ、内なる革命を実行する可能性が秘められているのだ。失われた何かが人間関係であれ、仕事であれ、物質的なものであれ、あるいは長いこと抱き続けた夢であれ、違いはない。われわれは、失うことは永遠の罰ではないとわかっているので、被害者意識、感情的依存、考えすぎといった状態から、信頼感、平穏、心の中の自由へと気持ちを移行させることが可能だ。
脳は無数の複雑なタスクをこなし、信じがたいほどの働きをするすばらしい器官だ。だが、われわれを幸福にするようには設計されていない。進化というものは、われわれを生存させるためのものであり、幸福に導くようには仕組まれてないのだ。幸い、人間の脳は主な特徴のひとつとして可塑性を有しており、今日、われわれは生物として何百万年もの進化を経た結果、脳の構造を新たな現実に適応させ、神経学的なメカニズムを利用して自分なりの幸福を構築するのに必要な知識を獲得した。
サグラダ・ファミリア(聖家族)教会が崩壊し、教会と共に、エルダの中で何かが壊れる。エルダは辛い過去との折り合いをつけるために、神戸からバルセロナに戻るため飛行機に乗る。バルセロナの街角で、当時のルームメートだったジュレスやヒロシとともに過ごした90年代の生活を思い出す。果たして彼女の決断は正しかったのかとの疑問が、今になって彼女をさいなむ。その過去から30年以上逃げてきたが、彼女の青春の何かが残っているだろうか?
理論家というより、ルシオ・ウルトゥビアは、断然、行動する男。彼の人生は、戦いに次ぐ戦いだった。多くの人の考えに反し、それが彼の遺産であり、ルシオの宝だ。ナバラ出身のアナキスト、ルシオ・ウルトゥビアとの尽きることのない会話やインタビューに基づいて、作者のベラッツは、ルシオの人生に影響を与えた行動、場所、人物、出来事、雰囲気を鮮明かつ綿密に再現する。自身もナバラ州のパンプロナ出身のイラストレーター、ベラッツが、ルシオの公式伝記作家として、最も有名な出来事や、あまり知られていない冒険を語る。