トリスタンが生まれた日はあまりにも騒がしかったので、彼の耳は塞がれ、声は隠されてしまった。この物語は、トリスタンが失われた声を探し、静けさの最も深いところでそれを見つける旅の記録だ。美しく描かれたシンプルなこの寓話は、子どもから大人までが、沈黙の価値や内なる声、人間とそれを囲むものとの親密な関係を見出すことを手助けしてくれる。
アントニオ・ロレンテがその肖像画の才能すべてをいかんなく発揮し、世界的な児童文学の中で最も有名な子どものキャラクターのひとり、トム・ソーヤのスピリットを描く。作者のマーク・トウェインはトムの冒険を通して、彼自身の人生に着想を得た、生き生きとした子ども時代の描写を実現。このハードカバー版は多数の挿絵が用いられ、内側はスクラップブック(写真アルバムの特別な技術)の美しさを模した丁寧な作りとなっている。
「ロベルト・サンティアゴのスーパーヒーローズ」は、前例のない長期出版プロジェクトで、『LOS ONCE(イレブン)』と『LAS PRINCESAS REBLEDES(手に負えない王女たち)』というふたつのシリーズで幕を開ける、複数のそれぞれ独立したシリーズを集めたサーガ。冒険や超能力、時事問題、ユーモアの素晴らしい組み合わせで、子どもたちを読書の虜にしてしまう。
ある若い女性は、妊娠を確認し、喜びに満ちあふれている。赤ん坊のために家をどうアレンジするか、名前をどうするか、子どもとどんなふうに暮らそうかと、パートナーとともにあれこれと計画を立て始める。だがある朝、通勤途中で小さな事件が起きる。近道をしようと公園を通り抜けているとき、飼い主がとめきれなかった数匹の犬に襲われ、彼女は倒される。病院で胎児に影響はないことがわかるが、ひとりのベテラン医師が、事前に検知されるべきだったあやしい影がエコーに映っているのに気づく。
この物語は、神秘性、すばらしい建築物、そして何よりもその神話の複雑さで幼い頃から著者を魅了してきた国、エジプトで主に展開される。著者は文学史における女性の不可視性に懸念をもっており、そのことはこの小説の中でも横断的に扱われている。内向的なアダ・キタブは、ロビン、サンとともに、「書籍探索隊」を構成する勇敢な司書。彼女たちは、盗まれ、闇市で売られている貴重な資料を回収することに従事している。
ページを動かしたり折ったりすると次々にイラストや文章が現れ、「無限の本」へと変わっていくという、機知に富んだ驚くべき仕組みの本。フアン・アスピリクエタのデザインにより、読者はページを様々な方法で見て、読むことができる。遊びが詰まった、尽きることのない読書体験だ。初めて本を読む年齢の子どもたち向けにグラフィックが工夫された『Libros infinitos. El Sistema solar(無限の本たち:太陽系のはなし)』は、単なる本にとどまらない。
文字や数字の練習をするために、書いたり消したりできる魔法のアクティビティノート。読み書きを一番楽しい形で子どもたちに始めさせたい親や先生には理想的な本。読み書きは、できるだけ早く始めるべき基本的なプロセスのひとつであり、子どもたちがコミュニケーションに最も重要なふたつのスキルである「読み」と「書き」を身につけるためには、サポートする材料を持つことが不可欠。本書には細かな運動機能を刺激し、スペイン語のアルファベット27文字と1から10までの数字の書き方を教える練習問題が収録されている。
祖国から遠く離れ、独立して暮らすフアンは、父の死により生まれ故郷の寒村にやむをえず戻る。葬儀が終われば一刻も早くエジンバラに帰る予定だったが、姉妹から聞いた知らせにより、計画は永久に変更させられる。逃げようと決めたその場所に、期せずしてとどまり、母親の介護をすることになるが、母親はほとんど見ず知らずの人間であり、共通するのは家族で乗っていた古いルノー4だけだった。
人を殺すことがあなたの仕事であるとき、狂気はよくない旅の道連れだ。あるプロの殺し屋が、数年間属していた組織を離れる。彼は遠くまで逃げ、円形の塀に囲まれた宿屋〈真夜中の中心〉に身を隠す。その宿には、6人の客が泊まっている。逃亡中の殺し屋は、自分を殺すために組織が人を送り出したという考えにとらわれ、その宿にその手先が泊まり、自分の命を奪うタイミングをうかがっていると思いこんでいる。
サンタンデール湾クラブの会長で、市の有力者のひとりである女性実業家フディス・ポンボが、豪華スクーナーの船室で死体となって見つかった。彼女はテニス界の選ばれた数名の招待客とともに、日暮れどきにクルーズに出ていた。前世紀初頭の密室犯罪の小説を思わせる犯行。船室は内側から鍵がかけられ、遺体に残された奇妙な傷も、犯行の謎めいた方法も説明がつかない。またパーティーのすべての招待客には、彼女の命を奪う動機があるようだった。