祖国から遠く離れ、独立して暮らすフアンは、父の死により生まれ故郷の寒村にやむをえず戻る。葬儀が終われば一刻も早くエジンバラに帰る予定だったが、姉妹から聞いた知らせにより、計画は永久に変更させられる。逃げようと決めたその場所に、期せずしてとどまり、母親の介護をすることになるが、母親はほとんど見ず知らずの人間であり、共通するのは家族で乗っていた古いルノー4だけだった。
「人間がひきうける責任のうち、子を持つことは最大で、最も決定的なものだろう。誰かに命を与え、無事に生かしていくことは、人間のすべての人格を巻き込む。だが、人の子であることの責任については、めったに語られない。『私を家に連れていって』は、子の責任と、その責任を引き受けるのがどういうことかを扱った小説だ」ヘスス・カラスコ