日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました:
野谷文昭(選考委員長:名古屋外国語大学教授・東京大学名誉教授)(以下あいうえお順/敬称略) 白川貴子(翻訳者、獨協大学外国語学部講師)/鈴木亜紀(ミュージシャン)/本庄玲子(フレーベル館・編集者)/八木志朗(柏書房・編集者)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略、最終選考で選ばれなかった書籍のレポート作成者も含みます)
青砥直子/井原美穂/今木照美/宇野和美/小原京子/國貞雅俊/笠原 未来歩/児玉さやか/佐藤晶子/白川貴子/鈴木亜紀/高際裕哉/德永麻子/轟 志津香/長神末央子/中山 映/宮崎真紀/村田名津子/吉田 恵
ナイルはただの川ではない。このアフリカ最大の川は、何百もの民族の心であり、地球上最大の権力を誇った歴代ファラオたちの浮き沈みを見てきた目撃者である。ナイルという名前はピラミッドに隠された秘密を思い起こさせ、今日もなお生き残りをかけて戦う長い歴史に支えられた諸文明の誇りでもある。今日ナイルは、ウガンダの北の平和を表す一方、南スーダンでは戦争も起きている。エチオピアの谷では生、エジプトやスーダンの牢獄では死を意味する。独裁であり、不平等である一方、進歩であり、希望であり、自由への欲求である。
ジュディは絵がうまい12歳の女の子。母親と祖父と3人でジュネーブに住んでいる。有名な画家の父親は、彼女が小さい頃に家族を捨ててハンガリーに行ってしまった。ジュディは絵のコンクールに出ようと準備をしているときに、チェスの手ほどきをうけ、そこで驚くべき才能を発揮する。チェスをするために頻繁に公園に通うようになったある日、ある対局が彼女の人生を変えることになる。年老いた不思議な師匠、イラン人のミスター・アリヤットと戦っているとき、彼から謎めいたメモを受け取る。
冒険推理小説として読める、芸術の世界を描いた図版入り作品。本書はユニークな形で芸術とその歴史にアプローチしていく。数々の作品が時の流れとともに様々な場所を経て現在に至る、その旅(戦争、略奪、返還、有名な窃盗事件、遺産の奪い合い、コレクションの流行、売買やオークションがもたらした結果)をテーマとしている。
「マラス」は、ヒスパニック系移民が生き延びる手段として、米国で生まれたストリート・ギャングである。マルティネス=ダビュイソンはマラスという現象を説明するのではなく、彼らとの共生を試みる。1年間、エル・サルバドル最大級のマラス「マラ・サルバトゥルチャ13」の一派である「ロス・グアナコス・クリミナレス」と共に過ごした。彼らはある丘の上を拠点としているが、その麓を牛耳るライバルグループの「バリオ18」によって劣勢に立たされている。1年を通して、著者は連日「グアナコス」を訪れる。
ビオレタの家族には長い間守りぬいてきたある秘密がある。かの有名な作家ジュール・ヴェルヌは、旅行鞄と質問をどっさりかかえて、ビゴ港で下船した。ヴェルヌは植物女についてすべてのことを知りたがり……植物女たちは生きのびるために、彼の発明の助けを必要としている。謎と冒険と太古の魔法が、海中の森への一刻を争う急展開の旅を待ちうける。