「マラス」は、ヒスパニック系移民が生き延びる手段として、米国で生まれたストリート・ギャングである。マルティネス=ダビュイソンはマラスという現象を説明するのではなく、彼らとの共生を試みる。1年間、エル・サルバドル最大級のマラス「マラ・サルバトゥルチャ13」の一派である「ロス・グアナコス・クリミナレス」と共に過ごした。彼らはある丘の上を拠点としているが、その麓を牛耳るライバルグループの「バリオ18」によって劣勢に立たされている。1年を通して、著者は連日「グアナコス」を訪れる。それは彼らの集団のしくみを内側から見るためではなく(そんなことは不可能だ)、許しが出れば、特権的な見学者として彼らを見るためなのだが、だからと言って受け入れられているわけではない。網羅的な社会学的調査を意図してもいない。我々読者に対し、そこで唯一可能な悲観的文学という視点から、彼らの日々を語っている。