日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
伊皿子りり子(サウザンブックス編集長) /笈入建志(往来堂書店) /鹿児島有里
(フリーランス編集者) /武田伊智朗(サンマーク出版) / 野谷文昭(名古屋大国語大学教授・東京大学名誉教授)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)
青砥直子 / 井原美穂 / 小原京子 / 児玉さやか / 笠原 未来歩 / 佐藤晶子 / 嶋田真美 / 轟 志津香 / 長神末央子 / 中山 映 / 村田名津子 /吉田 恵 / Javier Fernández Sánchez
この本は、生きながら死んでいる者について語っている。そういう人間はごまんといる。冒険しない、意思決定をしないし、リスクを負わない、賭けをしない、自分なりの基準もなければ、目標もわかっていない人たち。まさに生けるゾンビだ。皮肉っぽい文章で綴られた本書であなたは、いわば人生の質のバロメーターを見つけるだろう。あなた自身を確認し、自分を意識するためのツールだ。「人生を無駄にしないよう知性で鞭打ち、元気をくれる本」
ソニアはインターネットの文学交流サイトでヌットと出会い、700キロも離れた場所にいるにもかかわらず、強迫観念と奇妙さに彩られた奇妙な関係ができあがる。通常の社会規範の外に身をおき、豪華な盗品をプレゼントして口説いてくる、完璧主義者のとんでもない男ヌットに、ソニアは反感を持ちつつも魅了されずにいられない。「缶詰を1個盗みに行くときですら身なりを整えているのを好む男」ヌットは、若いが19世紀の作家について語り、哲学し、あらゆることに疑問を持つ。
ゲイとして生きることは難しい。ゲイであることの素晴らしさを語る映画や連続ドラマ? ありのままの君を好きでいてくれる、今風の同級生? 無条件にきみを支えてくれる両親? 全部嘘っぱちだ。現実はそんなに甘くない。少なくともこの物語の主人公にとってはそうだ。ありのままの自分を受け入れてくれない人々のせいで、まさに地獄に置かれている。だが、事態がどうしようもなく紛糾したとき、主人公はひとりの都会の少年と出会う。世界に対する見方がまったく違う、その少年に助けられて、主人公は選択をせまられる。
1874年10月。ガブリエル・カマラサは、ロンドンで数年の亡命生活を送ったのち、家族とともにバルセロナに戻ってきたばかりだ。ラ・ロンハ建築専門学校の初日、入学2年目の若者アントニ・ガウディと知り合う。若いカマラサにとってガウディは謎だ。その年齢の建築学生には考えられないほど豊富な建築の知識を持ち、秘教とオカルト植物学と写真にも興味を寄せる。また、バルセロナの最下層の人々とコンタクトを持ち、彼らと謎の商売をしている。ガウディはまた一級の演繹的思考の持ち主である、あるいはそう考えられている。
努力と謙虚さ、それはスポーツと人生における秘訣だ。ビセンテ・デルボスケが、自身のサッカー哲学と人生哲学の全てを本書で初めて語る。長年の選手生活、監督としてのエピソード、サッカーに対する彼の情熱。クラブや代表チームが切望する全てのビッグタイトルを持つデルボスケの、人間として、そしてプロとしての真価がわかる。