日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました。それぞれのお名前をクリックすると書籍紹介ビデオをご覧いただけます。:
野谷文昭(選考委員長:東京大学名誉教授・名古屋外国語大学名誉教授)(以下あいうえお順/敬称略) 越前敏弥 (文芸翻訳者)/榎本麻衣子(フォルトゥーナ、代表取締役社長)/廣瀬覚 (水声社、編集者)/山口侑紀 (花伝社、編集者)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略、最終選考で選ばれなかった書籍のレポート作成者も含みます)
井原美穂/上野貴彦/宇野和美/國貞雅俊/笠原未来歩/佐藤晶子/嶋田真美/白川貴子/轟 志津香/長神末央子/中山 映/平野麻紗/宮崎真紀/村岡直子/村田名津子/矢野真弓/横田佐知子/吉田 恵
美しさと荒々しさが同居する地域で、豊かさと貧しさ、白人と黒人が、距離を置きながら共存する太平洋の小さな村。その村がダマリスの物語の舞台。ダマリスは、女ざかりの太平洋の黒人女。長年ロへリオと連れ添ってきた。ふたりの白けた関係は子供を求めてのむなしい努力に大いに関係がある。あらゆることを試すが、ダマリスは妊娠しない。すべての希望が絶たれたとき、ダマリスは1匹の雌犬を飼うことになり、新しい夢を見つける。この雌犬との新しく身近な関係が、ダマリスにとって本能と母性について考察させる経験になっていく。
不安を掻き立てるこれら11編の短編の中には、寓話的な変化をもたらす出来事がある。それは救いのある出来事ではなく恐怖を伴う途方もないものだ。エルビラ・ナバロは、容赦のない明解さで、致命的にゆがんでいく人生を私たちに見せ、また、私たちをも引きずり込む。ナバロを読むことは、恐ろしい影を呼び覚ますことだ。そして夕暮れ時に、よく知っていたはずのものが全く違う顔を見せるように、これらの物語の中で、登場人物は密室、ぬかるみだらけの小島、精神的迷路の中に迷い込む。
銀河系の遥か彼方、退屈で孤独に飽きた宇宙人の女が地球に降り立つ決心をする。その目的は誘惑、肉欲、人間の愛の喜びを味わうことで、彼女の新たな使命、それは地球人の男とステディな関係になることだ。彼女をサポートする装置XOXOは、ガイド役として、彼女に人間の心と体の機能について説明するのが仕事。ところが、すぐに女は気が付く。全てが見た目ほど単純ではないこと、そしてカップルになるためには無限に暗号を解き規則を守る必要があるということに。
フランシスコ・フランコ(1939-75年までスペインを統治した独裁者)の生涯について、その誕生から死まで重要なエピソードに焦点を当てて描いたイラスト本。いまだ最近の話であり、多くの家庭においてタブー視されている我々の歴史の一時代が寓話的に描かれている。筆者が伝えたいメッセージは一目しただけでは伝わらないかもしれない。上質のワインをデキャンタするように、そしてそれが私たちの頭の中で醸し出されていくよう、練り込まれた作品。
逃亡一家が戻ってきた!好評だったシリーズ1作目の続編。今回、F一家には驚くべき隠れ家が用意されていた。それは大都会の贅沢なマンション。おまけに稼ぎのいい仕事に、独創的な友人たち…しかしすべてが見た目通りというわけにはいかない。悪の組織「マンディブラ(あご)」は変わらず待ち伏せている。F一家は重要な証人として証人保護プログラムの元にあり、F一家の唯一のミッションは「目立たないこと」だということを忘れてはならない。