日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
内田剛(三省堂書店) / 小澤大介(トランネット) / 田中絵里(ポプラ社) / 永易三和(原書房) / 野谷文昭(名古屋大国語大学教授・東京大学名誉教授) 各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略) 青砥直子 / 宇野和美 / 小原京子 / 柏倉恵 / 佐藤晶子 / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 棚瀬あずさ / 長神末央子 / 村田名津子 / 安田晶 / 横田佐知子 / 吉田恵 / Amadeu Branera
『7つの命』はある猫の物語。「猫には7つの命がある」ということわざのとおり、この猫も7つの命を持つが、ほかの猫と違っている。なぜって、7つの命を生きるあいだに、それぞれ語るべき物語を持つ7人の飼い主に出会うからだ。そして肝心なのは、その出会いから何かを教えてくれる。目撃した出来事や状況の本質を理解できない動物だからこそのくもりのない目で、人間のよいところ、悪いところを浮き彫りにする。たった一度の人生では必ずしも充分とはいえないことを教えてくれるのだ。オールカラーのグラフィックノベル。
エイハブ船長は、執念の対象であった白鯨を探しに出発する。鯨を求めて7つの海を渡るが、なんの手がかりも得られない。冒険の途中で彼を待ち受けるのは、氷山やクラゲの大群、沈没船、食人種の洞窟……、だが敵の痕跡はない。疲れ果てた船長は、家に帰ってのんびり暮らそうと決意するが、鯨が見つかるのはきっと、そんなときなのだ。どの絵にも必ず鯨がいるのが読者にはわかるが、執念に取りつかれたエイハブ船長の目には入らない。
「飛ぶのが怖いですか? 怖いでしょう」飛行、電子音声現象、古いケルト神話……この見事な小説にはすべてが盛り込まれている。民間航空会社のあるパイロットが通りすぎたあとには死と流血が起こる。あるアマチュア超心理学者が人気のないチャペルで記録した、不気味な電子音声現象が、暴いてはいけない謎を解明する最初の手がかりとなる。破壊的な邪悪な力がとき放たれ、30年以上の時を隔てたふたつのストーリーがぶつかり合う。
本書は、とっつきにくい訓練プログラムをとりあげた学術書ではなく、遊びながら記憶力を鍛えるための一般書。読者が自分の記憶の弱点を知り、その弱点を強化するのに必要なトレーニングを自覚するための、記憶力を高めるさまざまなプロセス、作戦、テクニック、アドバイスを紹介する。あらゆる年代の大人向けの多数のゲームを収録。若い読者には、注意力や集中力や記憶力の強化に、中年の読者には記憶力を良好に保つために、高齢者には、認知症などのちょっとした症状をカバーするために役立つだろう。
イソルダは、奇妙だが魅力に満ちた城に閉じこもって暮らしている。城はメデジン市にあるのだが、個性豊かな市民が暮らすこの町とは無縁だった。十代の少女イソルダにとって、城の中の雰囲気は現実からかけ離れて重苦しく、城の周りの森だけが彼女の孤独を癒してくれるのだった。しかし、目に見えない外界の脅威は、城のまわりの木々の枝の間から忍びこんでくる。ホルヘ・フランコが緊張感を見事に操りながら作り上げた、怪しい雰囲気をたたえたおとぎ話は、やがて常軌を逸した誘拐の物語となる。