日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました:
野谷文昭(選考委員長:名古屋外国語大学教授・東京大学名誉教授)(以下あいうえお順/敬称略) 白川貴子(翻訳者、獨協大学外国語学部講師)/鈴木亜紀(ミュージシャン)/本庄玲子(フレーベル館・編集者)/八木志朗(柏書房・編集者)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略、最終選考で選ばれなかった書籍のレポート作成者も含みます)
青砥直子/井原美穂/今木照美/宇野和美/小原京子/國貞雅俊/笠原 未来歩/児玉さやか/佐藤晶子/白川貴子/鈴木亜紀/高際裕哉/德永麻子/轟 志津香/長神末央子/中山 映/宮崎真紀/村田名津子/吉田 恵
いろんな気持ちがごちゃごちゃになってしまったことはない? このお話の色いろモンスターはそんなふうに気持ちがこんがらかって、喜び、悲しみ、怒り、恐怖、冷静さを整理することを身につけなくてはならなくなる。表現力豊かなイラストレーションで、子どもが1日のあいだに体験するさまざまな感情を簡単に見つけられる。スペインの学校では、3~5歳のこどもたちの感情教育をするのに欠かせない本となった。
ブエノスアイレス-ウシュアイアの飛行機に乗りこむ寸前、僕は遅延時間、溢れる観光客、飛び交う様々な言語について考える。待たされた鬱憤、研究のため大陸の果てに向かって飛ぶことへの不安について考える。そんなとき急に、どうしようもなくシモン・ラドヴィツキーのことが浮かんでしまう。彼は蒸気貨物船の船底で、他の惨めな境遇の男たちに交じって、埃と煙の中、鎖と鉄の棒を脚につけられて旅をした。暗闇の中の25日の船旅について僕は思いをはせる。
フリオ・コルタサル。痩せてひょろっと背が高く、黒髪、鼻っ柱が強く、ひげ面、太ふちめがね、永遠の若者のような顔立ち。現代文学の中で最もよく知られ愛されている作家のひとりで、ラテンアメリカ・ブームを語るうえで欠くことはできない存在。私たちはコルタサルの人生の最も重要で啓発的なエピソードを、ヘスス・マルチャマロとマルク・トリセス作のこの伝記漫画で辿り、コルタサルの世界と彼の文学の大筋を知る証人となる特権を得られる。
1950年代初頭のある朝、アストゥリアス出身の青年パトリシオがハバナ港に降り立つ。パトリシオは、内戦後でまだ暗い影に覆われたスペインの村を出て行きたい一心で、裸一貫だが一旗あげてやろうと意欲満々だった。 光に溢れたハバナの街は彼を温かく受け入れ、友人もすぐにできる。街の象徴であり誇りであるデパート「エル・エンカント」ですぐに仕事を見つけたパトリシオは出世し始め、より責任ある地位について新しい世界への扉を開くが、それは同時に、彼に対して多くの妬みを生むことでもあった。
米はスペイン料理にとってスター的存在で、この本の主役だ。調理手順を追った写真が多数掲載されており、調理器具や台所用品、器などの基本的な情報に加え、米の炒め方や焦げ目のつけ方、透き通った魚の出汁や甲殻類の出汁の取り方などの秘訣やテクニックも満載。最もページを割いているのはもちろんのことレシピ集である。色々な好みや難易度に合わせた57のレシピが掲載されている。