ワインになりたくてたまらない、せっかちで元気いっぱいのひと房のブドウの物語。次々と姿を変えながら続くブドウの旅を通して、読者はブドウのしぼり汁やワインの作り方を学ぶことができる。めずらしいエピソードやブドウの収穫に関する用語、ワインにまつわることわざや成句、早口言葉も収録。
1097年4月12日。ドーノックの小さな城に、背が高い痩せた男が到着する。背中が少し曲がり、鼻が奇形の男。スコットランド王マクベスの息子、マクベスだ。彼がやってきた目的は、バンクォーの息子フリーアンスに会うためだ。罪と血の歴史がふたりを結んでいる。王の座を手に入れるための陰謀で、罪を犯したマクベス王は復讐によって首をはねられて死んだ。それから40年の時が流れる。60代になり、足元さえおぼつかないふたりの老人は今何をしようというのか? 短剣抜きの決闘。
インディアスへ旅立ち、新大陸を発見したときのコロンブスの確信に満ちた態度からは、数々の疑問がわいてくる。コロンブスは、なぜそこまで自信を持ってその航路を進めたのか? この点に関しては諸説あるが、どれも立証はされていない。コロンブスを取り巻くすべてのことは謎に包まれている。一説によれば、コロンブスは総督の娘フェリパ・モニス・デペレストレーリョと結婚してマデイラ島に滞在していたとき、マルコ・ポーロが陸路で辿ったよりも短い航路をなんとかしてたどれないかと思案していた。
カルラス・スルダビラの、最も有名な小説。主人公(独立心旺盛で、自分をしっかり持った娘)の性格や、主に内的独白で表現された現代性により、その時代の新しいカタルーニャ文学を代表する作品となった。1929年刊行時の作品の魅力は、今日の読者にも保たれ、カルラス・スルダビラの最も重要な散文作品とみなされている。
1939年、ドイツから逃れてきたユダヤ人900名を乗せたS・S・サン・ルイ号は、ハバナを目前にして、避難民の上陸許可が下りるのを待って何日も停泊していた。幼いダニエルとそのおじは桟橋で、親族が下船してくるのを待っていた。彼らが隠し持ってきた、17世紀から一族に伝わるレンブラントの小さな油絵が、通行許可証代わりになってくれるという確信があった。だが計画は失敗に終わり、ドイツに引き返すことになった船は、すべての希望も運び去った。2007年、油絵がオークションに出品された。
お父さんが世界の海をわたる本物の海賊だったらいいな、とか、海の怪物や巨大ロボットとの戦いに連れて行ってもらえたらいいなと思ったことがあるなら、人魚や秘密の宝物や魔法のバイオリンがどこかにあると信じたいなら……それとも、よい文学にも激しいアクションやユーモアがあってもいいのにとだけでも思うなら、この本は君の愛読書になるだろう。
2001年9月10日、ブランドン・モイはニューヨークで古い友達と再会し、若かりし頃一緒に追った夢を全部思い出した。決して叶えられることのなかった夢。モイには愛する妻と、模範的な息子がいる。マンハッタンに誰もが羨むマンションを持ち、仕事でも成功している。しかし、やりたかったことを思い出したとき、人生に失敗したような感情にとらわれる。再会の翌日、ツイン・タワーの職場に向かう途中、アルカイダの飛行機がツイン・タワーに突っ込む。モイは、運命が彼に第2のチャンスを与えたと思った。
表向きの性質の裏に、謎めいた感覚、陰謀と知られざる関係が隠れ、時間は、それ自身に謎と確かさをはらんだ、別のリズム、別の秩序で流れていく。理性という拘束衣をはねのけて、アレックの死へとたどりつく出来事が謎に包まれていることをまずは認める必要がある。死という結末がなければ意味がなく、おそらくは記憶から消されていたであろうばらばらの出来事が、アレックの死によって完全に調和して整理された。
エウセビオは、友人のギリェルモから、謎の女性とSMセックスの関係を持っていると打ち明けられる。その数日後、ギリェルモは事故死する。エウセビオはギリェルモの死を告げるためその女を探そうと決心する。そして探し当てた時、彼女に夢中になる。自分が秘密を知っていることがばれたら彼女が離れていくだろうと思うと、エウセビオは彼女に何も言えない。ふたりは少しずつお互いを好きになっていく。
登場人物の依存関係が、1ページ目からあなたをひきつけてやまない。21世紀の最もよくある病のひとつ、不安についての物語。エクトル・アマトは俳優で、ある若い女性の殺害現場に偶然居合わせてしまって以来、不安にさいなまれている。不安が障壁となって、彼は起きたことを思い出せなくなる。苦悩をしずめて記憶を取り戻そうと、エクトルは心理学者のエウヘニア・リョルトの診察室を訪れる。彼女は事件のあとに彼の治療を受け持ったセラピストだった。