ありえないものの世界にようこそ! 想像力の彼方まで連れていかれるのにまかせ、忘れがたきページの数々がもたらす、目もくらむ感覚に身を任せましょう。読みやすい25の章から成るこの小説には、きらきら光る万華鏡、人々の夢や欲望、幻想のありかを示した複雑な地図が巧みに仕組まれている。著者のルル・ソトゥエラ=エロリアガが、独自の詩的な語り口で繰りだす世界や登場人物たちは、突拍子もない状況や後戻りできない出来事に巻き込まれ、驚きや楽しみ、感動に読者を誘う。
シェイクスピアの最も魅力的で想像力豊かな作品に基づく、喜びあふれる生き生きとした夢物語。いたずら好きであわて者で、ふざけんぼうの妖精パックが、ウイリアムという少年に物語を語る。この少年がのちに、歴史上有名な劇作家となる。本書は原作の精神に忠実に、世界文学の最高峰となっている作品の特徴を生かして書かれている。わくわくする物語が、10歳の読者を魔法とファンタジーいっぱいのおとぎ話の世界へと運ぶ。詩的な言葉づかいややわらかい語り口、登場人物たちの優しさも素晴らしい。
自分の命を守るため、若きゾーリンガーは生まれ故郷を捨て、遠く離れた土地で7年間、ひとり冒険の道を歩み、ありとあらゆる職業についた。つらい亡命生活ゆえの経験は、やがて啓発の道に変わっていく。たとえば、毎日謎めいた電話受付係の女性からの仕事の電話を受ける、とある駅のごく小さな守衛室で真実の愛を知る。軍隊の隊列の中で仲間意識と最も忠実な友情をかみしめる。消えゆく森の壮大さの中で自然の神秘を発見する。そして、何より、些細でつつましい仕事の尊厳を尊重する心を学ぶ。