自分の命を守るため、若きゾーリンガーは生まれ故郷を捨て、遠く離れた土地で7年間、ひとり冒険の道を歩み、ありとあらゆる職業についた。つらい亡命生活ゆえの経験は、やがて啓発の道に変わっていく。たとえば、毎日謎めいた電話受付係の女性からの仕事の電話を受ける、とある駅のごく小さな守衛室で真実の愛を知る。軍隊の隊列の中で仲間意識と最も忠実な友情をかみしめる。消えゆく森の壮大さの中で自然の神秘を発見する。そして、何より、些細でつつましい仕事の尊厳を尊重する心を学ぶ。この過程を通して身に着けていく物事によって、彼はやっと一人前の男になり、家に帰り、よい印刷工になることができる。彼がずっと夢見てきた印刷工に。