インディアスへ旅立ち、新大陸を発見したときのコロンブスの確信に満ちた態度からは、数々の疑問がわいてくる。コロンブスは、なぜそこまで自信を持ってその航路を進めたのか? この点に関しては諸説あるが、どれも立証はされていない。コロンブスを取り巻くすべてのことは謎に包まれている。一説によれば、コロンブスは総督の娘フェリパ・モニス・デペレストレーリョと結婚してマデイラ島に滞在していたとき、マルコ・ポーロが陸路で辿ったよりも短い航路をなんとかしてたどれないかと思案していた。そこでちょうど目的地近くからやってきたひとりの遭難者を保護し、彼から聞きだしたことが成功を決定づけたという。著者は、こまやかな文体で過去へとさかのぼり、既に数多く書かれてきたコロンブスの航海について新しい小説をうみだした。