登場人物の依存関係が、1ページ目からあなたをひきつけてやまない。21世紀の最もよくある病のひとつ、不安についての物語。エクトル・アマトは俳優で、ある若い女性の殺害現場に偶然居合わせてしまって以来、不安にさいなまれている。不安が障壁となって、彼は起きたことを思い出せなくなる。苦悩をしずめて記憶を取り戻そうと、エクトルは心理学者のエウヘニア・リョルトの診察室を訪れる。彼女は事件のあとに彼の治療を受け持ったセラピストだった。最初は医者と患者という職業上のつながりだったふたりの関係が、やがて依存関係に代わり、ついに限界に達する。