800年前、異端のカタリ派によって荒廃した土地で、アラゴン国王ペドロ2世兼バルセロナ伯は、強大な軍の先頭に立っていた。キリスト教徒の土地で初めて招集された十字軍を相手にした野戦でその戦いは熾烈を極めていた。十字軍を指揮するシモン・ド・モンフォルは異端のカタリ派の鎮圧を試みる。カトリック王(El Católico)の異名を持つペドロ2世は、ローマ教皇イノケンティウス3世により戴冠を受け、異教徒を相手に戦ったラス・ナバス・デ・トロサの戦いで勝利した王だ。そのペドロ2世が、教会に向かって反旗を翻した。何がそのような唐突な状況を引き起したのだろう? 夢、歴史を永遠に変えてしまったかもしれない熱望。アラゴン王国をピレネー山脈をまたいで両側に広がる大王国にすること。様々な声からなる多元視点の小説で、短い章立てのスピード感のあるダイレクトなスタイルで、歴史を展開していく。