縫い子だったシラ・キロガはスペイン市民戦争を逃れて恋人ラミロと一緒にモロッコへ逃げる。浮草のような生活の中でラミロは金を使い果たし、シラを捨てる。この時点からシラの人生は紆余曲折をたどる。警察に目をつけられないようテトゥアンで再び縫い子となり、顧客の有力者の夫人方をうまくいなしつつ英国政府のスパイとして二重生活を送る。そんなある日、別人になりすましてマドリードへ戻り、顧客のドイツ人たちの情報収集をせよとの命令を受ける。
スペイン初の、最良にして完璧なスペイン・ワイン集。現在活躍中の専門家22名で構成する試飲委員会が、スペインで最上級にランクされるワインを解説し、コメントし、格付けする。
ブラインドティスティングされたワイン4973銘柄、ブラインドティスティングされた上でコメント、格付けされたワイン1121銘柄。1263の醸造元とそのすべてのワイン、335の専門店、118のワイン産地の情報を収録。
口承芸術であるフラメンコは、長らく、基本的にはバハ・アンダルシアの大いなるジプシー一族の中で守られ、家庭や地域で世代から世代へと伝えられてきた。その歌詞は迫害や疎外の産物であり、そこには反抗心が沈殿している。30年代には、ファンダンゴはもっぱら、ハカの将校フェルミン・ガランや「共和国の小旗」に捧げられてきた。その一方で、フランコ政権末期と民主主義への移行期のあいだは、多くのフラメンコ・アーティストたちが政治がらみで社会的立場を手にした。
ビオレタ・モンレアルが、完全に不完全な50人の女性を描く。妄想的で、革命的で、夢想家で、革新的で、ユニークな、世界を変えた女性たち。
セルバはみなと違う女の子だ。肌が青くて、砂しかない国から来た。錆びて、ベルのついていない自転車を持っているが、そのサドルにはすばらしい物語が隠されている。
何年もたってから、主人公は、セルバとの友情がどんなふうに芽生えたか、自転車の物語や、ともに体験した大冒険を思い出し、砂漠を探しにいこうと決心する。遠い夏の太陽とともに心の中にしまいこまれた、決して忘れることのない美しい思い出。
熟年期における挫折、それが、20作の短編をおさめたセルジ・パミエスのこの新しい作品集の中心テーマ。個人及び集団をみまう不運、不運を乗り越えて生き延びる能力、不運によってひきおこされるあらゆる感情が、オブセッシブなスタイルで描かれる。このスタイルこそ、何千もの読者をひきつけてやまない、最近のパミエスの著作の特徴である。
本書はサラマンカ大学という組織の初期の歩みを描いたものである。サラマンカ大学の創設は12世紀だが、カトリック女王イサベルが同大学をソルボンヌ大学スペイン版に育てようと決心して世界的に有名になった。本書は見事な散文によって、魅惑的で激しい世紀に我々をいざなう。人文主義がイタリアでおこり、ヨーロッパに広がった後スペインにも到来した時代である。イベリア半島では、すでに確立している宗教秩序を維持せんと人文主義に対抗し異端審問所が立ちはだかる。
はるか昔から、魔女オマールの一族は、血に飢えた魔女オディッシュの一族から隠れて暮らし、預言者によって選ばれし者の到来を待ち望んでいた。今、星はその時が近いことを告げている。14年間ピレネーの山奥の村で、一族の女性たちにまつわる秘密を知らないで育ってきたアナイードは、母親である赤毛のセレーネが姿を消したとき、身も凍る信じがたい真実とむきあい、危険と発見に満ちた道を歩みだす。
書店にある他の本とは異なる、サグラダ・ファミリアについての書。人間としての、また芸術家としてのガウディの経験を語らせたら並ぶもののない証人である外尾悦郎との対話。日本人の彫刻家、外尾は30年以上前にバルセロナに来てサグラダ・ファミリアの石の鼓動に魅了された。作品への関わりはガウディへの、とりわけガウディが見ていたものへの、深く沈思したまなざしがあったからこそ。
マサトラン(メキシコ)の海辺。イサベルがハンモックで目をさますと、髪がくしゃくしゃの野生の少女が彼女を見つめている。イサベルの愛情と辛抱強い教育のおかげで、その少女カレン・ニエトは話すことや読み書きを覚え、大学では単位をだいぶ落としながらも動物学を専攻し、世界有数のマグロ漁の会社社長となる。が、相当の変わりものである。知的な面はかんばしくないが、そのほかでは天賦の才を発揮し、海洋生物の保護に乗りだす。海にあってはマグロと一緒に潜り、陸にあっては人々に笑いと戸惑いを振りまく。